こちらは使用人に推理を
披露させる貴族探偵と
新米の女探偵の対決を
描いたミステリよ。
あの貴族探偵が対決!?
しかも女探偵と!!
といっても使用人が推理する
わけだから女探偵VS使用人てこと?
女探偵が先に推理する流れに
なるのだけど、そこで貴族探偵が
犯人に見立てられたりするの。
なんと!それはそれでおもしろそう。
さてさて犯人扱いされた貴族探偵が
どんな行動に出るのか…。
『貴族探偵対女探偵』麻耶 雄嵩 (著)集英社文庫
あらすじ
探偵として独り立ちしてから半年が経つ、新人女探偵の高穂愛香。
親友の別荘で起こった殺人事件の現場で「貴族探偵」と名乗る男と遭遇する。
師匠の教えを胸に、地道に現場を捜査する愛香に対し、貴族探偵は指一本動かすことなく自らのメイドや執事などの使用人たちに推理を披露させる。
事件を解決するのは貴族探偵と女探偵、果たしてどちらなのか。
使用人に推理させる貴族探偵と新人女探偵の対決
高校時代の友人・平野紗知に招かれ、山荘へやってきた愛香。
院生である紗知が所属するゼミの後輩も来ていたのですが、その中の一人が地下室で死体となって発見されます。
警察に連絡するも、道の途中にある橋で火災が発生し、到着までしばらくかかるとのこと。
愛香は現場の捜査を続けていたところ、地下室の井戸に紗知のコートのボタンを発見します。
紗知はどこで落としたのか覚えがないと言います。
紗知が犯人ではないか、と疑う山荘に滞在していたメンバーを集め、被害者が撲殺されたと思われる時間のアリバイを聞き出します。
その中の一人、ゼミ生の恋人だという髭の男が「何か見つかりましたか?女探偵さん」と愛香に話しかけてきました。
彼の指には絆創膏が巻かれています。
紗知から被害者のことと、紗知自身の行動を確認した愛香は一つの真実にたどりつきます。
皆を集め、推理を披露し、犯人の名を告げます。
しかし犯人と指摘された髭の男は自らを「貴族探偵」と名乗ります。
事件を解決する、と発言した彼のもとに現れたのは執事の山本と名乗る、彼の使用人。
推理はなぜか、その執事の山本の口から語られ…。
まとめ
余裕しゃくしゃく、不遜な態度の貴族探偵にペースをかき乱され、また時にはその挑発に乗ってしまい、真実にたどりつけないこともある女探偵・愛香。
名探偵と名高い師匠の教えを胸に、プライドを傷つけられても何度でも立ち上がり粘り強く捜査を続けていきます。
そんな愛香に対し貴族らしく鷹揚に構える貴族探偵。
彼の特徴は、自分は一切手を出さず、すべて使用人が推理し、披露すること。
それって探偵なのか?と突っ込めば「貴族に労働を強要するとは傲慢な時代」と返ってくる。
そんな貴族探偵と女探偵の5つの推理対決を収めたミステリ短編集。
精緻なトリックのミステリを楽しみつつ、最後に大きな驚きと、貴族探偵いの「食えないやつ」ぶりに感心する物語です。
<こんな人におすすめ>
自分の手は使わず使用人に推理させる貴族探偵と新米女探偵の推理対決を描いたミステリを読んでみたい
前作『貴族探偵』を読んだ
麻耶 雄嵩のファン
まさに貴族!
常に想像の斜め上の対応を
してくるところがおもしろい。
いつかメルカトルとの対決も
見てみたいぞ。
案外貴族探偵とメルカトルは
知り合いだったりするのかも?
常識的な女探偵と全くの規格外な
常識を持つ貴族探偵。
コントラストの強いやりとりも
楽しめるミステリね。
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