こちらは葉崎市の私設庭園で
一人の老女の死体が発見された
ことで次々に事件が発生していく
ミステリーよ。
ほうほう。架空の街、葉崎市ね。
発見された老女は殺害されたわけ?
自殺のようなのだけれど
庭園のオーナーが自殺幇助の
疑いをかけられてしまうの。
さらに庭園に介護施設が建てられるという
詐欺騒ぎにもこのオーナーは巻き込まれて
しまうのよ。
あらら〜。気の毒だなあ。
クセのある登場人物がたくさん
現れそう。楽しみだぜ。
『パラダイス・ガーデンの喪失』
若竹七海 (著)光文社文庫
あらすじ
葉崎市にある、海を見下ろす崖の上の私設庭園「パラダイス・ガーデン」で身元不明の老女の死体が発見された。
亡き母の跡を継ぎ庭園のオーナーとなった兵頭房子は自殺幇助を疑われてしまう。
葉崎署の二村貴美子警部補は事件の捜査に乗り出すが、この狭い葉崎市内で誘拐、殺人、詐欺などが次々と発生する。
この街でいったい何が起こっているのか。
美しい庭で発見された身元不明の老女の死体
亡くなった母の跡を継ぎ房子がコツコツと手を入れてきたパラダイス・ガーデン。
葉崎市のちょっとした観光名所となっているこの場所で、一人の老女の死体が発見されました。
オーナーである房子は第一発見者であること、老女がナイフで喉を突いた自殺であることから、自殺幇助の疑いをかけられてしまいます。
房子自身は全く身に覚えがないことですが…。
おまけにパラダイス・ガーデンに介護施設が建設される予定で、優先的に入所させると案内し、何者かから老人が金を騙し取られるという事件が。
葉崎署の二村警部は、死んだ老女の身元洗い出しの捜査にかかりますが、幼児の誘拐事件が発生したり、引退したキルト作家の老女が殺害されるなど、次から次へと事件が起こります。
穏やかな葉崎市に影を落とすこれらの事件は関連しているのか、それとも…。
まとめ
コロナ禍で過密を避け、人々はじっと身を潜めている状況の中、予約した客のみ案内をはじめたパラダイス・ガーデンの房子。
少しずつ世の中がもとの状況に戻っていけば、カフェの営業も再開しようか。
そんなことを考えていた矢先、庭に老女の死体を発見するわ、介護施設詐欺に巻き込まれたりと散々な目に。
葉崎署の二村はフェイスシールドならぬ顔面を黒い板で覆われたサンバイザーを装着するという独特な姿で登場。
自身の観察眼や記憶力を駆使しつつ捜査を重ねていきます。
犯人や関連する登場人物たちの身勝手な発言は、未成熟な現代社会をチクリと皮肉っているよう。
動機も手段も重々しいけれど、軽妙な会話や二村のコミカルな空気で軽やかに読み進められます。
幾重にも重なり合う謎がキルトのように美しい柄を生み出すミステリーです。
<こんな人におすすめ>
身元不明の死体の正体と誘拐、殺人、詐欺事件が複雑に絡まりあったミステリを読んでみたい
コロナ禍の葉崎市で、個性の強い住民と刑事が織りなすトリッキーな物語に興味がある
若竹七海のファン
二村刑事、いい味出してるな〜。
しっかしこの物事の重なり具合、
展開、見せ方が素晴らしい!
コロナ禍という状況も
物語の展開に一役買っているわね。
キャラクターと謎の絡まり具合の
バランスが見事なミステリーね。
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