こちらは巨デブ女性・
たまみの初恋と葛藤を描く
物語の上巻よ。
巨デブってすごい言葉だな。
食べることが大好きな子なのか?
母親がたまみに対してネグレクト気味
だったの。それでたまみは冷蔵庫に
慰めを求めているうちに大きな体に
なっていったのよ。
彼女が働く店に来る客のことが好きになり、
相手から告白までされるけれど断ってしまうの。
えっっ!!
好きな人から告白されたのに!?
なんでなんだ!!
『やせる石鹸(上) 初恋の章』
歌川たいじ (著)光文社文庫
あらすじ
叔母が女将をする料理店で料理を運ぶ仕事をしているたまみ。
巨デブである彼女は、幼い頃から指をさされたりからかわれたりしてきたことで、周囲の人との距離を取るように。
ところがある日、店に来た客から食事に誘われ告白されたたまみだが、素直にその言葉を受け取ることができない。
そんな中、たまみは中学生時代の同級生、よき子と遭遇。
当時、同じく巨デブだったよき子はまるで別人のような姿になっていて…。
巨デブたまみの恋の行方は
両親が離婚し、母と二人暮らしのたまみ。
母は娘に関心がなく、学校の行事や面談もすぐに帰ったり来なかったり。
そんなたまみの寂しい気持ちを紛らわせてくれるのは冷蔵庫。
この中に食糧があるということは、母は私を飢えさせないようにと考えてくれているからに違いない。
そう思うことで自分の心を保っていたたまみは、冷蔵庫に抱きつき話しかけ、その中身を貪るように食べていたのです。
料理屋を接待のために利用した客・辻堂拓也から、たまみの給仕がよかったことを言われ、自分の仕事である和食の文化や食材のプレゼンに協力してもらえないかと頼まれます。
認められ、ほめられたたまみは自身の英語技能を活かし、また食材などの情報を懸命に調べ、協力。
プレゼンは好評で、拓哉から二人での食事に誘われます。
告白されるも「デブ専だ」とハッキリ言った拓也に複雑な思いを抱くたまみ。
そんな中、街中で偶然かつての同級生であり巨デブだったよき子が、別人のようなスリムな姿で歩いていいるところに遭遇。
また、ゲイバーに勤める實はこれまでデブと言われ蔑まれてきたのに、デブ専のこの店に来たとたんに人気者となったことに違和感を覚えていました。
仕事はそこそこ順調でしたが、従業員の一人がダイエットサプリを服用しはじめてから様子がおかしくなり…。
まとめ
心ない言葉をぶつけられたり、辛い状況に長く置かれ続けたせいで自己肯定感が脂肪の奥底に隠れてしまった巨デブさんたち。
身体を壊していく仲間たちを目にして、彼らの行動や考え方がどうなっていくのかが気になります。
自分と周囲の人との間に見えない壁を感じる人に、手に取ってもらいたい物語です。
<こんな人におすすめ>
太っていたことがある、またダイエットしたことがある
長年太っていることでどのような心境になっていくかを描いた物語に興味がある
歌川たいじのファン
すごい。太っている人の
心理がとても細やかに
描かれている。そして彼らに
対する世間の目も…。
ダイエットしたことがある人
太っていると気にしている人
などにも読んでもらいたい
物語ね。
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