
こちらは一人の人間として
生きていくための力を身に
つける女子教育のために
生涯を捧げた女性の物語よ。

へえ〜。その人は実在した人物なのか?

そうよ。恵泉女学園の創設者でも
あるわ。女学校といえば良妻賢母を
育てるという時代の中で、自分の意見を
はっきりと述べ「分かち合う」精神を
大切にしているのよ。

そうかあ。周囲には理解されにくい
部分もあったんだろうなあ。
彼女はどんな人物でどんな風に
生徒たちを教育したんだろう。
『らんたん』柚木 麻子 (著) 新潮文庫
あらすじ
伊勢に生まれた河合道は札幌で新渡戸稲造に学び、その後は米ブリンマー大学へ留学。
帰国後は津田梅子が創設した女子英学塾で女子たちに様々な事を教えた。
ひとりの人間として生きていくための力をつける学校を作るため、道は教え子の渡辺ゆりとともに奔走するのだが。
女性が自分の足で立つための学校を作りたい
伊勢に生まれた道は勉強も友達も嫌いで、こっそりサボってはおじいちゃんの家に行き、美味しいものを食べさせてもらっていました。
官職廃止の政策により、神官の職を失った父は客商売も力仕事もできませんでしたが、母親が機転の効く対応力とコミュ力で新しく暮らすことになった北海道でも一家を切り盛りしていました。
道はお父さんのいとこの直胤おじさんに連れられてサラ・スミスという女性の家を訪れます。
食べたことのないお菓子や飲みものを夢中で口に運び、色とりどりの布や毛糸をったくさんだしてもらい、人形のための服や帽子の作り方を教えてもらい手を動かします。
札幌で学校を開くというサラのところで学んでみないか、というおじさんや母のすすめに渋っていた道も、勉強だけでなくお菓子を食べたりごっこあそびをするという話につられて行くことを決意。
全寮制の小さな学校で、先生が教えてくれるゲームや遊びが楽しみでワクワクとした気持ちで毎日を過ごしていました。
やがて新渡戸稲造の教えを受け、妻のメアリーさんとも会話をするうちに英語も上達。
米ブリンマー大学へ留学し、かけがえのない友と出会い、多くの学びを得て帰国、津田梅子が解説した女子英学塾で教鞭をとります。
自分が思う形の、女性が一人の人間として生きるための力をつけられる学校を作りたい。
その思いから道は教え子である渡辺ゆりと手を取り合い動き始めます。
まとめ
勉強は苦手だけれど美味しいものやきれいなものが好き。
そして楽しいことや嬉しい事を皆で分け合うことが好き。
そんな道は新渡戸稲造や津田梅子といった師の導きやキリストの教えとなる「分かち合う」概念、そしてブリンマー大学で学んだ「シスターフッド」の絆を胸に良妻賢母としてではなく女性が自分の足で立って行きていけるような教育をする学校を作ります。
明るくユーモアを持つ彼女ですが、果たして自分はこれで合っているのかと迷い悩む一面も見せます。
それでも生徒たちが歩んでいけるよう、教育の灯を照らし続ける彼女の姿に胸が熱くなります。
女性の未来のために走り続けたその情熱と輝きに感動する物語です。
<こんな人におすすめ>
明治から昭和にかけて女子教育のために奔走した女性の生き様を描いた話を読んでみたい
女性が自分の足で立ち生きることを教えた教師の物語に興味がある
柚木 麻子のファン


新渡戸稲造やら津田梅子やら
錚々たるメンバーが実に生き生きと
描かれているな!彼らのことが
ぐっと身近に感じるぜ。

少女の頃には型にはまらずのびのびとした
教育を受け、そして留学先で学んだ
「シスターフッド」の思いを胸に
自分の足で立つ女性たちを育てることに
力を注いだ女性の一代記ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。



