
こちらはランドリーに訪れる人々の
様々な人間模様を描く
「横浜コインランドリー」シリーズの
第三弾よ。店長である真奈の母親が
店にやってくるの。

えっ 確か店長は施設育ち。
母親は育児放棄した人物じゃ
なかったか?

そうなの。母親は真奈との
和解を望んでいるようなのだけれど
真奈の態度は硬いのよ。茜は
そのことを気にしているの。

そりゃあな。複雑な思いとか
言いたいこともいろいろあるだろうし。
真奈はどうやって気持ちの整理を
つけるのかな。
『横浜コインランドリー 雨のち晴れ』泉ゆたか (著) 祥伝社文庫
あらすじ
ブラックな前職を辞め、「ヨコハマコインランドリー」で働き始めてから一年が経った中島茜は、クリーニング師試験に無事合格。
そんな中、店長・真奈の母親である加奈子が十九年ぶりに姿を見せ和解を望むのだが…。
十九年ぶりに母親と再会した真奈の心情
茜のクリーニング師試験合格の知らせに真奈や常連客たちが顔を揃えた店内はお祝いムードに。
そんな中、五十代半ばの女性が店を訪れます。
家の掃除も洗濯も全くせず真奈が児童養護施設で暮らすことになった原因でもある彼女の母親・加奈子が十九年ぶりに現れたのです。
親し気に話しかける加奈子に対し、硬い声で答える真奈。
成人になったばかりの真奈に借金の肩代わりをさせ、加奈子は再び姿を消したのです。
借金は返す、という加奈子からの名刺を茜は預かります。
その後、加奈子は何度か店を訪れ、常連たちとも会話を交わすようになりますが、真奈には彼女との距離を縮めようという気配はありません。
また茜も修行を兼ねてバイトに行っているクリーニング高岡の後継である充と、試験合格のお祝いにと二人で食事に出かけます。
「お互い決して嫌な気持ちになりたくなかったら、適度な距離感を保つことが必要」という充の言葉に、胸が冷やりとする茜は、自分たちの関係も…?とモヤモヤしてしまいます。
ある日、洗濯機の中に忘れ物がないかと、スーツ姿の男性が店にやってきます。
お客さんいわく「きったないタオルケット」ですが大切なそれを手に店に入ってきたのは加奈子だったのです。
まとめ
家事や育児を放棄していた母親との再会。
いったいどんなことになってしまうんだろう?と読む側の者も茜といっしょにハラハラしてしまいます。
真奈が過ごした養護施設での状況や洗濯をしようと思ったきっかけには涙がこぼれます。
正面からまっすぐに、ぴんと張ったまっさらな布のように気持ちの良い印象のある真奈ですが、その胸の奥には洗いざらした布のようなどこかやわらかい部分を持っているのだと感じさせます。
大切だからこそ何度も身につけ、だから汚れてしまう身の回りのもの。
それらを上手に扱い手入れをして長く付き合うこと。
そんな丁寧で素敵なものや人との付き合い方を教えてくれる、身も心もスッキリする物語です。
<こんな人におすすめ>
洗濯から人生に向き合うことに気付いていく物語を読んでみたい
『横浜コインランドリー』シリーズのファン
泉ゆたかのファン


スッキリとした気持ちの良い読後感だな。
人には見た目からは想像もつかない
いろいろな事情があるもんだ。

汚れたら何度でも洗えばいい。
洋服も人間関係もそうやって
続けていくことで見えてくるものが
あるのかもしれないわね。
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