こちらは十年ぶりの再会となる
同窓会のSNSで不穏なメッセージが
投稿されたことから、彼らの歯車が
少しずつ狂い始めていくお話よ。
不穏なメッセージ?
どんな内容なんだ?
伝わった瞬間に命を落とすと
言われる『遺言墨』で書かれた
手紙がタイムカプセルに入って
いるというもの。手紙を書いた人物は
当時いじめに遭っていたようなの。
ははあ いじめられた人物の過去の恨みが
同窓会の場で明らかになるってことか。
いじめていたほうも、その事実が明らかに
なると困る奴もいるんだろうな。
『おまえなんかに会いたくない』乾 ルカ (著)中公文庫
あらすじ
白麗高校三年六組のメンバーに向けてクラス同窓会の案内が届いた。
十年ぶりの再会となるこの会では、学校祭最終日に埋めたタイムカプセルも掘り出す予定なのだという。
SNS上で思い出話に盛り上がる彼ら。
そんな中、匿名の人物から『タイムカプセルに遺言墨で書いたメッセージを入れた人がいますが、知っていますか。』という投稿が。
クラスのいじめやパワーバランス、そして十年後の自分たち。
誰かの怨みが書かれているかもしれないメッセージを思い、彼らの日常の歯車は少しずつ狂いはじめる。
同窓会SNSに送られてくる謎のメッセージ
地方テレビ局のアナウンサーとして働く井ノ川東子は、同窓会のSNS担当幹事に。
SNSでメッセージを発信し、同窓会への参加を促す役割です。
メッセージを確認してみると、皆同窓会を楽しみにしている様子が伝わってきます。
しかし、タイムカプセルに遺言墨で書いた手紙を入れた人がいるというメッセージを目にして顔をしかめます。
遺言墨とは都市伝説的なものですが、この墨で書くと必ず相手に内容と真意を伝えることができると言われています。
ただし、伝わった瞬間、伝えた方、あるいは伝えられた方が命を落とす。
だから『遺言墨』と呼ばれているのだとか。
カプセルを埋めた日のこと、そして当時のクラスメイトたちのことを、井ノ川は思い浮かべます。
そしてまたSNSに投稿されたメッセージは『岸本季矢を覚えているか?』というもの。
ここからクラスメイトたちは様々な反応を見せ、自分の当時の苦しさや葛藤、怒りを思い出し、予想外の行動に出る者も。
高校三年生当時のクラスカーストが落とした影は十年後の彼らをどう脅かすのか。
まとめ
クラスカーストにガッチリはめこまれていた者、その価値観に全くとらわれていなかった者。
それはコロナ禍における自粛状況へのストレスと合わさり、各個人が追いつめられたり思わぬ状況に巻き込まれていくことに。
遺言墨で誰が何を書いたかというミステリ要素に加え、高校三年生から十年経った今にかけての彼らの変化や、今だからこその気づきが胸に刺さる物語です。
<こんな人におすすめ>
いじめを受けていた高校生が同窓会で復習を計画する物語に興味がある
高校時代を思い出しながら今の自分と向き合っていく話を読んでみたい
乾 ルカのファン
過去の自分は今の自分につながって
いるんだよな。そしていじめた方は
大したことないと思っていても
いじめられた方は忘れることが
できない傷になっていることもあるんだよな。
クラスカーストが落とした影。
十年後に、改めてその影を
見つめ直すことになった彼らの姿を
描く物語ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。