こちらはクジラが迷い込んできた
ことがあるという町で起こる
人間模様を描いた物語よ。
クジラがねえ。その町には
どんな人たちが住んでいるんだ?
新聞記者、ステーキ屋の店主、
ピアノ弾き、詩人などなど。
みな個性的だから、出会うことでまた
予想外の出来事が生まれていくわ。
おお〜 一体どんな出来事が
起こるんだ!?楽しみだな。
『流星シネマ』 吉田 篤弘 (著) ハルキ文庫
あらすじ
崖の下にあるこの町には鯨塚がある。
その昔、この町にクジラが迷い込んできたことがあるらしい。
太郎はこの町の「流星新聞」を発行する手伝いをしている。
深夜営業の「オキナワ・ステーキ」を営むゴー君、「ねむりうた」の歌い手であり、ピアノ弾きでもあるバジ君。
個性的な住人たちが織りなす、豊かで滋味深い人間模様を描く。
かつてクジラがこの町に迷い込み、動けなくなって絶命した。
この町は海とつながっている…。
そんな不思議な出来事のあった町で発行されているのは「流星新聞」というローカル紙。
発行者のアルフレッドが帰国することになり、それまで手伝いをしていた太郎が引き継ぐことに。
詩集を発行している女性、カナさんとの出会い、「ねむりうた」を歌い、そうっとピアノの音を奏でるバジ君。
ステーキ屋を営む太郎の同級生、ゴー君は従業員のミユキさんのことが気になっています。
最近、「オキナワ・ステーキ」に毎晩のようにやってくる奇しげな男。
そして無人の工場から漏れ聞こえる音。全てがつながったとき、町はまるで新たな産声をあげたようです。
まとめ
誰もが喪失を抱えています。
その痛みをやさしく包み込むように、ピアノやヴァイオリンの音が流れていくのです。
そして数十年前にアルフレッドが撮影した8ミリフィルムは、カナさんの手によって編集され、当時の様子をいきいきと蘇らせます。
音や言葉の持つ力を理解し紡ぐこと、生きていること、夢。
静かに輝く星のように、あたたかで綺麗な言葉で描かれる人間模様の物語です。
<こんな人におすすめ>
クジラが迷い込んだことのある街で繰り広げられる人間模様に興味がある
静かで美しい音色のような、胸にしみこむ話を読んでみたい
吉田 篤弘のファン
やさしくて暖かな音に
包まれているような…
なんとも幸せな気分になる物語だな。
言葉の持つ美しさにたっぷりと
浸ることのできる物語ね。
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