小説・人文

イラストブックレビュー

指先から生まれる生命の輝き

『線は、僕を描く』 砥上 裕將 (著)のイラストブックレビューです。両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学一年生の青山霜介は、ふとしたきっかけで水墨画の大家・篠田湖山と出会う。湖山に気に入られ内弟子となった霜介は、湖山の孫娘・千瑛に反発され、翌年の「湖山賞」をかけて勝負する、と宣言されるのだが…。
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人生の崖っぷちで土を耕す

『農ガール、農ライフ』  垣谷美雨 (著)のイラストブックレビューです。水沢久美子、三十二歳。派遣切りに遭ったその日、同棲相手から「結婚したい相手がいるから出ていってくれ」と告げられる。TVで見た「農業女子」に、自分が進むべき道はコレだ!と感じ、早速田舎に引っ越し、農業を目指すべく動き出すのだが…。
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49日間のバイトで見つけたわたしの忘れ物

『わたしの忘れ物』 乾ルカ(著 )のイラストブックレビューです。まだ雪の残る三月。H大学の三年生、中辻恵麻は大学の学生部へ訪れた。すると奨学係の女性から、バイトを紹介される。それは商業施設の忘れ物センターでの仕事だった。
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突き抜けているクズ男、伊藤くんと女たち

『伊藤くんA to E』 柚木 麻子 (著)のイラストブックレビューです。千葉のボンボンで、美形で博識。でも自意識過剰で幼稚で無神経な男、伊藤誠二郎。こんな男のどこがいいのか、なぜか彼の周囲には恋愛の話題が尽きない。伊藤くんと関わった女性の目線から、傷つき、立ち上がる彼女たちの姿を描く。
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生涯に影響を与え続けるメンターとの出会い

『リーチ先生』 原田 マハ (著) のイラストブックレビューです。1954年、大分の小鹿田にやってきた、イギリス人陶芸家のバーナード・リーチ。ある窯元の弟子として働く十六歳の少年、高市はリーチ先生のお世話がかりに任命された。驚くことに、リーチ先生は高市の父、亀之介を助手としていたことがあるという。
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今の時代から戦争を「感じる」ということ

『帰郷』 浅田 次郎 (著)のイラストブックレビューです。帰るべき家を失くした帰還兵。ニューギニアで高射砲の修理にあたる職工。戦地へ赴く前の出来事を語り合う海軍兵。戦争に巻き込まれた人々が語る、戦中、戦後。今の時代だからこそ読んでほしい、反戦小説集。
イラストブックレビュー

あなたの消したいモノは何ですか?

『君の××を消してあげるよ』 悠木 シュン (著) のイラストブックレビューです。バトン部に所属する中学三年生の小笠原幸は、最後のコンクールを控えた時期に退部を決意。その本当の理由は、教師にも親友にも話せない、四年前に起こった出来事だった…。
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それは正義なのか?生徒を守る「ガーディアン」とは

『ガーディアン 』 薬丸 岳 (著)のイラストブックレビューです。英語教師の秋葉が赴任した石原中学は、いじめも少なく、問題を起こす生徒もいないが、長期欠席する生徒が増え続けていた、不審に思い調べはじめた秋葉は背後に生徒たちの「自警団」が存在することを知る。
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家族のゆがみを描く 予測不可能な九つの結末

『夫の骨』 矢樹純 (著)のイラストブックレビューです 。夫の孝之が山で遭難し、亡くなってから一年が経った。ふと思いたち、物置の整理をしたところ、小さな桐箱に入った乳児の骨を見つける。二年前に亡くなった義母が産んだのか、子供の父親は誰なのか。猜疑心に囚われた私は…。表題作「夫の骨」ほか家族の歪みを描く九つの短編集。
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国の強化と個の自由との戦いの行方は

『コールドウォー DASPA 吉良大介』榎本憲男 (著) のイラストブックレビューです。吉良大介は、国際的な闇賭博サイトに「2020年東京オリンピックは開催されるか」という賭けを発見。年明けとともにコロナウイルスの感染は拡大し、オリンピックは年内中止に。「自粛」の空気が流れる中、ある女性歌手が解散したかつての人気バンドとともにライブを行うと発表する。