
こちらは『まんまこと』シリーズの
第9弾よ。麻之助と夫婦になった
お和歌が身ごもるのよ。

やや!これはめでたい。
お気楽後継の麻之助もとうとう父親か!
なんだかいろいろ心配してそうだが。

生まれる時期が近づくとじっとして
いられずに街中を走ったりしているわ。
そんな麻之助にはやっかいな親子に
ついての相談事が持ち込まれるの。

おお。親になろうかというタイミングで
親子問題か。よき解決策が提案できると
いいんだが。
『おやごころ』畠中 恵 (著) 文春文庫
あらすじ
とんとん拍子で目出たく夫婦となった麻之助とお和歌。
そのお和歌が身ごもり、喜びと不安でいっぱいの麻之助のもとには今日も江戸の困りごとが持ち込まれる。
やがて元気な男の子が生まれ、喜びムードの高橋家にやってきたのは一膳飯屋の富由屋夫婦。
子供達のことで相談があるというのだが。
親子の関係について考えさせられる揉め事とは
富由屋には娘二人と跡取り息子がおり、姉は深川の船宿に嫁ぎ、息子は料理屋の娘に惚れられ嫁に来てもらうことになったのだとか。
二人の支度金に金がかかり、下の娘が嫁ぐときにはどうすれば良いかという相談かと麻之助が思っていたところそうではなく、店の手伝いや年老いた時の自分たちの世話をしてもらうために下の娘は嫁に出さない事にした。
その事について親戚たちからひどく責められており、それを何とかしてほしい、という相談でした。
自分たちの都合で娘の人生を奪い、しかもその事に何の違和感も覚えていない彼らを見て麻之助はおどろき呆れ、いったん帰ってもらうことに。
しばらくするとお和歌の父・金吾がやってきて富由屋に勝手はいけないと麻之助がびしりと叱ったと町名主の間で噂になっていると知らされます。
驚いた麻之助は自分は何もしていない、と金吾に伝えますが、親戚方が娘を救ったことがめぐりめぐって麻之助の手柄という噂につながったのかも、と大して気にしていなかった麻之助。
ところが後日、麻之助がまた親子の騒ぎを解決したという話さを耳にしたと幼馴染の清十郎から聞いて…。
まとめ
無事に生まれるか心配でじっとしていられなくて江戸の町中を走り回ったり、生まれたら生まれたで赤子に構いたくて仕方がないのに「しっかり働きなさい」と惣右衛門から言われて嘆いたりと、何とも微笑ましい麻之助の新米パパぶりにほっこりしてしまいます。
妻のお和歌が与えてくれる新しい視点から、町のやっかいごとや問題を関わる者達があとにしこりが残らない形で解決していく麻之助ですが、自身でも責任感が出てくるのかなあ?と思ったりしていて何ともゆるいスタンス。
そんなところが彼らしく、気負いすぎずそれでいて着実に町名主としてのスキルアップを重ねているようです。
親となり人間的にも深みを増していくであろう麻之助の、これからの活躍が一層楽しみなシリーズ第九弾です。
<こんな人におすすめ>
お気楽な町名主の跡取り息子が我が子の心配をしながらも町の揉め事を解決していく物語に興味がある『まんまこと』シリーズのファン
畠中 恵のファン


麻之助、良かったな〜。
息子が成長してきて手を焼く
姿が目に浮かぶようだ。
父親ならではの仕事ぶりに
今後も期待するぞ。

登場人物たちが読者とともに
歳をとっていって立場や
能力も変わっていくところも
このシリーズの魅力のひとつよね。
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