
こちらは警察がホテルマンに扮装して
潜入捜査を行う『マスカレード』シリーズの
第四弾よ。一見関連のなさそうな殺人事件の
容疑者たちがホテル・コルシア東京に
同じ日に宿泊することが判明。新田刑事は
今回もホテルマンに扮するわ。

イケメンだから刑事よりもホテルマンの
ほうが似合ってるなんて言われてたよな。
あ、でも優秀なスタッフの山岸さんは
どっか外国のホテルに異動になったんじゃ
なかったっけ?

今回の件で急遽、山岸さんは東京に
駆けつけたの。勝手知ったる二人だけど
捜査陣には築き上げてきた過去の
信頼を崩すようなやりとりも起こるわ。

犯人を捕らえるためなら客の
プライバシーも踏みにじる、ってやつね。
新田は警察とホテル側の板挟みに
なってしまいそうだな…。
『マスカレード・ゲーム』東野 圭吾 (著) 集英社文庫
あらすじ
溶接加工会社に勤める入江悠斗が胸を刺され死亡。
入江は十七歳の頃に傷害事件を起こしており、当時大学生だった被害者は事件から約一年後に亡くなっている。
また別の二件の事件も奇妙な関連を見せ、それぞれの事件の容疑者が同じ日に「あのホテル」に宿泊することが判明。
捜査一課の新田は三たびホテルの潜入捜査を行い事件解決に挑む。
容疑者たちが集結するホテルで三度目の潜入捜査
殺害された入江悠斗は勤務態度も問題がなく、彼が死んで得をする人間もいないようです。
ただ、十七歳の頃に起こした傷害事件の被害者が、暴行を受けた後植物状態となり一年半後に亡くなっています。
母親である神谷良美には友人と過ごしたアリバイがありました。
また吉祥寺で起こったナイフによる殺傷事件では、被害者はムラヤマシンジという男で、六年前に別れた元恋人の画像を公開したリベンジポルノ防止違反で逮捕された過去がありました。
リベンジポルノの被害に遭った中学三年の少女は、一年間学校を休んだ後に自殺。
被害者の家族同士が何らかのつながりを持ち、交換殺人を図ったのか。
そしてまた第三の殺人が起こる可能性も持ち上がる中、容疑者たちが同じ日にホテル・コルテシア東京に宿泊することが判明。
新田は三たびホテルスタッフの姿になり、潜入捜査を開始。
意識の統制が取れず一枚岩とも言い切れない捜査チームとともに犯人を捕らえ、また未然に事件を防ぐことができるのか。
まとめ
容疑者たちが集結したホテル・コルシア東京で三度目の潜入捜査に挑む新田。
頼れるホテルスタッフ・山岸尚美も登場し、盤石な体制が整ったかのように思えたのですが。
女性エリート警部の梓は鋭い頭脳と、強引とも取れるやり方で捜査を進めようとし、新田がこれまで築いてきたホテルとの信頼を崩しかねない状況に。
見て見ぬ振りの上司、そして強く引き止めることのできない自分に忸怩たる思いを抱く新田は、警察の仕事に迷いを生じる部分もあるようです。
宿泊客の動きを逐一観察し、時に近づいていきながら犯人を見つけ出そうとする警察と、必要以上に客に干渉しようとする警察に対し拒否姿勢を示すホテル側との対立、そして実行されようとしている事件にハラハラドキドキとさせられ、ページをめくる手が止まらなくなるシリーズ第四弾です。
<こんな人におすすめ>
容疑者たちが集結したホテルで潜入捜査を行い警察とホテルのそれぞれの仕事の間で揺れる刑事の心を描いたミステリーを読んでみたい
『マスカレード』シリーズのファン
東野 圭吾のファン


ホテルと警察、それぞれのプライドと
相手へのリスペクトが成立した上での
潜入捜査だもんな。これを踏みにじられる
新田の苦悩が手に取るようにわかるなあ。

今回の捜査である決意をした新田は
どう生きていくのかしら。今後の
展開も気になるわね。
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