
こちらは不運な女探偵・葉村晶の
フリーター時代や、山好きの
御子柴刑事たちが登場する
ミステリー短編集よ。

葉村晶はフリーターだったのか!
その時代からあれこれと推理を
してたりしていたのか?

ルーム・クリーナーの仕事をしていた
彼女は先輩からホテルの一室に
呼び出されて床に広がる血のような
しみの掃除を頼まれるの。

事件の匂いがプンプンするな。
葉村晶はどんな推理で真相に
近づいていったんだろうか。
『プレゼント』若竹七海 (著) 中公文庫
あらすじ
ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。
フリーター・葉村晶の現れるところにはいつもトラブルが巻き起こる。
とぼけた雰囲気の小林警部補と山好きの若者・御子柴刑事も登場し、犯罪を隠蔽しようとする犯人と対峙し事件の真相を解き明かす。
ホテルの一室の床で流された血の理由とは
ルーム・クリーナーのアルバイトをしている葉村晶は、ライティングの仕事で関わっている出版社の遠藤からホテルの一室に呼び出されます。
部屋にはもう一人の若者、若手編集者の井坂敏男なる人物もいます。
遠藤は床に広がる黒っぽいしみを落としてくれないか、と晶に頼みます。
事情をたずねると、部屋には作家の赤月武市が宿泊しており、井坂が作家と打ち合わせをして翌日訪れてみると本人の姿はなく、床にはそのしみ、つまり血の痕があったというのです。
出版社がこのホテルの株主であるため騒ぎをおこしたくないこと、また午前中に赤月氏からホテルが気に入らないから出ていくという電話が出版社にかかってきたのだと遠藤は言います。
電話の主が赤月氏本人かは不明、また何者かにおそわれ運び出された可能性も考えられますが赤月氏は188センチの立派な体格のため困難だと思われます。
井坂に赤月氏のことをたずねながら清掃作業をこなした晶は、仕事を終えるとホテルのスタッフと会話を交わし、やはり188センチの大男は見かけなかったと言われます。
赤月氏はいったいどこに消えてしまったのか。
そして床の血は誰のものでそこでなにが起こったのか。
ルーム・クリーナー、葉村晶がたどりついた真相とは。
まとめ
ホテルの一室の床に広がる血と、行方不明の作家。
ここではルーム・クリーナーとして登場する葉村晶が、担当編集者やホテルスタッフの証言、現場の状況から推理を組み立てていきます。
フリーターとして様々な仕事をこなしながら事件に遭遇したり、挙げ句の果てには自分自身が事件に巻き込まれたりと、さすが不運な女探偵の面目躍如といったところ。
独特な雰囲気の小林警部補らも登場し、どこか牧歌的な茎も漂いつつ、鋭い推理の切れ味で最後まで楽しく読めるミステリー短編集です。
<こんな人におすすめ>
悪気のない隣人の騒動に巻き込まれるミステリーを読んでみたい
葉村晶シリーズのファン
若竹七海のファン


なるほどねえ。彼女の推理力は
もともとの洞察に様々な
仕事の経験が加わることで
より磨かれていったのかもな。

最近では目や歯や肩が痛いと
こぼしている葉村晶だけど
そんな体調不良を感じさせない
若くて元気な当時の彼女の姿にも
注目したいわね。
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