
こちらは貿易商の檜垣澤商店へ
引き取られることになった
少女かな子が屋敷内で過ごしながら
一家の真実に迫っていく物語よ。

一家の真実?何やら隠された
秘密でもあるのか?

当主の妻であるスエが実質の
商売を引っ張っているわ。
政略結婚や軍とのやりとりなど
様々な出来事をかな子は目にして
いくの。

大きな商売で軍にも影響力を
持つ会社の一家ってわけね。
そんな場所で一人の少女が
見たものは何を意味していたんだろうな。
『檜垣澤家の炎上』永嶋 恵美 (著) 新潮文庫
あらすじ
横濱の経済を支え続けてきた貿易商の檜垣澤商店はこの地でその名を知らぬ者はいない富豪一族。
当主である要吉の妾である高木ふさの娘・かな子は母が亡くなったことで檜垣澤家へ引き取られることになった。
商売を引っ張る要吉の妻・スエ、それを手伝うスエの長女・花、花の娘である静かな長女・郁乃と自己主張の塊である次女の珠代、そして珠代に対抗心を燃やし気まぐれにかな子を可愛がる三女の雪江。
政略結婚や軍との交渉などの陰謀が渦巻く屋敷の中で、かな子は一家の真実に迫っていく。
裕福な一家に隠された秘密とは
妾の子という立場で檜垣澤家に引き取られたかな子は、病に臥せっている父・要吉の世話をしています。
女中たちからは意地悪をされたり、檜垣澤家の人々よりは一段下がった扱いを受けてはいますが暮らし向きに不自由はありません。
かな子は館の中で聞く話には注意深く耳を傾け、記憶するようにしていました。
理解できない内容も多かったものの、それでも仕事の流れや屋敷の人々の付き合いや人間関係が少しずつ理解できるようになり、彼らと話をするときには相手の反応を伺いながら慎重に言葉を選んでいました。
ある夜、屋敷の蔵から火が出ます。
そしてその中から花の夫、婿養子の辰市の死体が発見されます。
男手不要と言われる商売は滞りなく続き、やがて珠代と雪江もスエが采配した檜垣澤商店のメリットとなる相手に嫁いでいきます。
郁乃の仕事を手伝い、大事な商売相手との対面を重ねながらかな子はこの一家に潜む暗い秘密に気づき始めます。
まとめ
七つの頃から檜垣澤家に入り、病気の父の世話と学校を往復し、屋敷の中での話には目立たぬよう、しかし集中しながら耳を傾け、相手が望む言葉や態度を慎重に選び対応するというおよそ子供離れした部分を持つかな子。
自分の立場を理解し、理不尽な言葉や態度を取られたとしてもすぐには返さず、より効果的に一撃で済ます策士な部分もあります。
大正時代、めまぐるしく変わる時代の中で自分自身を見失うことなく自分らしいやり方で戦い続けた女の姿を描く、感動の物語です。
<こんな人におすすめ>
妾の子として富豪一家に引き取られた少女が自分の立場を考えながら行動し生きる姿を描いた物語を読んでみたい
豊かな一家で起こった殺人事件と家族の秘密に迫るミステリに興味がある
永嶋 恵美のファン


ええっ!一家の秘密って!!
そんでもってかな子すごすぎる。
環境が彼女をそうさせたのか…

自分なりに懸命に居場所を
獲得しようと気を配りながら
生きてきたかな子だから
様々な事実を受け入れて
歩いていけるのかもしれないわね。
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