『世界の望む静謐 〈乙姫警部〉シリーズ』
倉知 淳 (著) 創元推理文庫

こちらは見た目が死神のような
乙姫刑事が犯罪者たちを
追い詰めていくシリーズ第二弾よ。

めっちゃイケメンの若手刑事と
コンビを組んでいるんだよな。
今回はどんな事件の捜査に
取り組むんだ?

売れっ子漫画家を殺してしまった
担当編集者が証拠を隠滅して
完全犯罪を図ろうとするの。

読者にはあらかじめ犯人が
わかっているってことだな。
さて「死神」はどうやって
真相を突き詰めていくんだろう。
あらすじ
人気作品を手掛ける漫画家を殺してしまった担当編集者、金をだまし取ろうとした悪質な芸能プロモーターを手にかけた『元』人気歌手。
後始末は完璧なはずだった。
完全犯罪を目論む彼らを、死神めいた警部がじわりじわりと追い詰める。
証拠の隠滅をはかる犯人を追い詰める死神のような警部
中学生の少女、栗栖アガサが名推理で難事件を解決する大好評連載中の漫画は国民的な人気を誇り、出版社にとってのドル箱作品でもあります。
完成原稿を受け取りに、漫画家・椙田保彦の仕事場を訪れた担当編集者の桑島輝貴は、椙田から「連載を終わらせようと思う」と言われます。
必死に説得をしますが椙田の意志は固く、それどころかSNSで終了を告知しようとします。
焦った桑島は椙田の行動を止めようと、デスクのハサミをつかみ椙田へ突き出し殺害。
動転したものの警察には通報せず、現場の自分の痕跡を消し、玄関ドアに鍵をかけ部屋を後にします。
翌日、出社した桑島の前に現れた警察の人間は二人組で、一人はモデルのようなすらりとした若者、そしてもう一人は陰気で表情の感じられない瞳をした死神のような中年の男。
死神の見た目をした乙姫という名の警部は淡々とした口調で事件当時の状況においての桑島の行動を確認します。
全てを知っているのではないか、この刑事は。
しかし、手落ちはなかったと自分に言い聞かせつつ、背中にじんわりと汗をかいていることを、桑島は感じるのです。
まとめ
衝動にまかせて、あるいは計画的に人を殺めてしまった犯人たち。
我に返ると、気を落ち着かせながら証拠の隠滅をはかり罪から逃れようとします。
そんな彼らの前に現れるのは地獄の底からやってきたような見た目と、その姿に似つかわしくない名前を持つ乙姫警部。
陰気な口調と光を感じさせない暗い目つき、感情が読めない無表情で容疑者に質問を重ね心理的に追い詰めていきます。
一方で現場で感じた小さな違和感を見逃さず徹底的に捜査していく姿、そして事件の謎を明らかにしていくシーンは、犯人に対して地獄行きの宣告をしているようで背筋がゾクゾクします。
罪を暴く死神が活躍するシリーズ第二弾です。
<こんな人におすすめ>
死神めいた刑事が事件の謎を解くミステリに興味がある
〈乙姫警部〉シリーズのファン
倉知 淳のファン


一発でしとめないで
じわじわと追い詰めていくとこなんか
むしろ犯人が気の毒になるようだな。

細かな違和感を見逃さず
論理的に行動を分析していく
見事な推理力とその怖い見た目が
アンマッチで癖になるシリーズね。
前作『皇帝と拳銃と』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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