こちらは文庫売りの少年が
亡き親分のおかみさんらとともに
江戸の厄介ごとを解決していく
物語よ。
ほうほう。親分は岡っ引きでも
あったわけだ。腕っ節や仲裁する
力が優れていたんだろうなあ。
そうなの。十六歳の北一は
岡っ引きの仕事は引き継ぐことは
できなかったけれど、街で起こる問題の
解決のために協力しているわ。そして
おかみさんは目が見えないけれどとても
優れた洞察力を持っているの。
なるほどね。いろんな経験を
積むことで北一自身にも
変化がありそうだな。
『きたきた捕物帖』宮部 みゆき (著)PHP文芸文庫
あらすじ
十六歳の北一は暦本や読本を入れる厚紙製の箱、文庫を振り売りしている。
岡っ引きであり、文庫屋の親分である千吉のもとで世話になっていたが、千吉が亡くなり、差配人のはからいで「富勘長屋」へ居を移し、文庫屋として一人立ちすることを夢見ている。
江戸の町で起こるやっかい事を、千吉のおかみさんや仲間たちに助けられながら解決していく。
親分亡き後、文庫屋の一人立ちを目指す北一
三歳の頃に迷子になり、千吉に引き取ってもらい、そのまま居着いて文庫売の振り売りをして生計を立てている北一。
千吉がふぐに当たって亡くなり、一の子分の万作が文庫屋を継ぐことに。
万作の妻・おたまは店は自分たちのもの、と主張。
同心が間に入り、千吉の妻と女中のおみつは店を出て、文庫屋の看板料を受け取る、北一は長屋に住み、店から文庫を仕入れ、売ることに。
岡っ引きについては該当する者がなく、親分の十手は返すことになります。
差配の富勘が、呪いの福笑いでけが人などが出る問題を持ちかけられて困っている、と北一にぼやきます。
目の見えない千吉のおかみさんと女中のおみつの住まいへ、力仕事の手伝いに行っていた北一はおかみさんへ事情を話します。
するとおかみさんは呪いの福笑いを持つ福富屋へ、富勘、おみつ、北一とともに出向くことに。
まとめ
目は見えないけれど、人の心や動きを見通せるおかみさんは、北一に千吉親分の仕事ぶりや心構えを伝えていきます。
一介の振り売りだった北一が、仲間たちの力を借りて独立を目指します。
謎のあるところに人の心あり。
ひとつひとつ真実を見つけることで成長していく北一の姿がまぶしい物語です。
<こんな人におすすめ>
16歳の少年が江戸の町に起こる事件を解決していく話に興味がある
江戸の人情と謎に包まれた、わくわく&ほっこりした物語を読んでみたい
宮部 みゆきのファン
頼りない一介の振売だった
北一が周囲の状況を理解して
自分のあるべき姿を見つけ出していく
その成長ぶりがいいな!
続きが楽しみな新しいリーズの
スタートね。
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