
こちらは亡くなった父親の
お墓問題やコロナで変わっていく
日常の様子などを描いたエッセイよ。

爆笑エッセイストが
親のお墓問題を扱うわけだな。
お墓だのなんだの こういった
手間や確認の多い作業は
苦手そうなイメージだが。

その通りね。父親も自分が死んだ後の
ことは何も考えていなかったようで
父の会社の後始末なんかも大変だった
ようよ。おまけになんとなく応募した
市営霊園の抽選に当選するの。

ありゃあ… 当選したらしたで
また手続きが多数発生しそうな…
キミコがんばれよ〜
『お墓、どうしてます? キミコの巣ごもりぐるぐる日記』
北大路 公子 (著)集英社文庫
あらすじ
父が突然この世を去って一年半。
年金の停止や銀行口座の解約に会社の後始末。
一向に片付かない作業に追われ骨壷はいまだに神棚に置かれたまま。
さて私は墓を買うのだろうか。
ぐずぐずと迷っているううちにコロナ禍到来。
引きこもりの生活の中、なんと市営霊園の抽選に当たってしまい…。
思考は脱線し、進まないお墓問題と日々の暮らしを笑いあり涙ありで描くエッセイ。
さて私はお墓を建てるのでしょうか?
終活的なことを何もせずに逝った父のおかげで後始末に追われる日々に、思わず父に対して腹を立てる著者。
墓についても場所や価格のほかにも公営か私営か、屋内か屋外かデザインは…と選択肢が多すぎてウンザリしていたところに母親が放った衝撃のひと言。
「私、お父さんと同じお墓に入るの嫌だなあ」と。
驚く著者に、お墓の中で喧嘩になるからと母は言うのですが、そこは二人とも死んでいるので大丈夫ではないでしょうか…と心の中でつぶやいてみたり。
当の父親といえば生前は「父ちゃんの骨なんてもうそこらの道に撒いてくれていいから」と改めて何も考えてないことがよくわかる発言をしていたのでした。
そんなお墓問題の始まりとともにやってきたのがコロナ禍。
お墓を見にいくどころか外出にも気を使う日々。
消毒や密を避けるなどお父さんが生きていたらこの状況に対応できずに大変だったろうねえと母と話しつつ、募集されていた市営の霊園に応募してみることに。
抽選とのことで、おそらく当選しないだろうと思っていたところまさかの当選。
しかしこれがまた困った状況になってしまい…。
まとめ
老いた親を持つ子供なら誰しもふりかかってくるであろうお墓問題。
複雑で面倒なことは考えるのも決めるのも苦手と言う著者の思考は、仁徳天皇陵のことからコロナ禍における相撲の楽しみまであちこちをめぐります。
かと思えば死後の準備を何もせず、また考えもしていなかった亡き父親へ腹を立てたり、その父の気配を感じ家族の様子を心配しているのかな、と考えてみたり。
新しい住人であるめんこい白猫を迎え入れテンションが上がっている様子が目に浮かび、思わずほほえんでしまいます。
親の墓、というテーマがこんなにも楽しくなってしまうのは、著者の力の抜け具合が秀逸であるからかもしれません。
家族がいなくなること、お墓を立てることを著者といっしょに体験しているような気持ちになるエッセイです。
<こんな人におすすめ>
親の墓をどうするのか問題をユーモアを交えて綴るエッセイを読んでみたい
コロナ禍の世の中の変化を老いた親や猫との暮らしといった目線から描いた文章に興味がある
北大路 公子のファン


いやマジで人が死ぬって
大変なことだよなあ。
テーマのわりには相変わらず
笑いを誘ってくれるのは
さすがだね。

のんびりと構えながらも
世の中の価値観の変化や
人の生死などによる時の流れが
感じられる、笑いあり涙ありの
エッセイね。
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