
こちらはある町に突然現れた
ストリートキッズの集団が
町の人々に様々な影響を及ぼしていく
物語よ。

へえ〜。子供の集団か。
犯罪なんかも起こしたり
するのか?

そうね。それでも時には
子供らしい顔を見せたりする面も。
大人たちは遠巻きに見ていたのだけど
ある事件をきっかけに人々は
この子供たちへの対応を迫られるの。

子供の暴走を止めるのは難しいのか。
彼らを捕まえて説得するくらいしか
対策は思いつかないが…。
『きらめく共和国 』
アンドレス・バルバ (著), 宇野 和美 (翻訳) 創元推理文庫
あらすじ
1994年、緑のジャングルと茶色の川が流れる亜熱帯気候の町、サンクリストバルにどこの国の言語とも判別がつかない言葉で会話を交わす9歳から13歳の子どもたちの集団が現れた。
奇妙な子どもたちの行動は町を警戒させ、大人たちの心にヒビを入れる。
やがて32人の子どもたちは一斉に命を落とした。
子どもの無邪気さや暴力性、保護と支配などむき出しの姿に戸惑い、そして彼らという存在の謎迫る。
いつの間にか現れた子供達が町に不穏な空気をもたらす
9歳のニーニャという娘がいるバイオリン教師のマヤに恋をした私は、彼女の出身地であるサンクリストバルの地に家を提供され、社会福祉課の管理職ポストにつきコミュニティーの統合プログラムの仕事をすることになりました。
私はマヤを愛し、ニーニャに気を遣いつつ関係を築いていました。
そんな時、町の中にどこのコミュニティにも属さないような9歳から13歳の子どもたちを見かけるようになります。
大人に金をねだったりしていた彼らがどこからやってきたのか、そしてどこに寝泊まりしているのか町の人は誰も知りませんでした。
自分の子どもへの何らかの悪影響を及ぼすことを恐れた大人たちは遠巻きに彼らを見ていましたが、ついに市民への襲撃が彼らによってもたらされたことが市議会の議題にのぼります。
飲食店の経営者が売上金を奪われたり、中年女性がバッグを引ったくられたり。
市民から社会福祉課へ対応が迫られる中、市民と子どもたちを決定的に分断するある事件が起こります。
まとめ
どこからともなく現れたストリート・キッズたち。
子どもらしい無邪気さを見せることもあものの、生きるために働く行為は盗みや強奪など次第にエスカレートしていきます。
対応が後手に回ってしまっていたのは「子供は無力である」「純粋なものである」といった大人の幻想が原因だったのかもしれません。
しかし実際には子供達で築かれていたそのコミュニティは彼ら独自のルールや言語を生み出し、大人の想像を超える領域で機能を果たしていたと同時に、あらゆる行為がどういったきっかけでタガが外れてしまうのかわからない、爆弾を抱えた状況でもあるのです。
輝きや自由のある子供たちだけで生きていける国の幻想と現実、そして恐ろしさをつぶさに描いた強く印象に残る物語です。
<こんな人におすすめ>
子供たちだけで成り立つ集団が大人たちを脅かしていく物語に興味がある
子供への先入観が覆されるような驚きと恐怖を与える話を読んでみたい
アンドレス・バルバのファン


子供という存在への思い込みから
起こってしまった悲劇とも
言えるな…。しかし子供だけで
こんな集団が築けるとは。

子供たちだけで生きていくことが
できる夢のような国の光と影を
描き出す衝撃の物語ね。
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