小説・人文

イラストブックレビュー

ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『個人的な体験』大江 健三郎 (著)

広大なアフリカの地をいつか旅してみたい。そんな夢を抱いていたバードだが、生まれてきたわが子を見て恐怖感に囚われた。脳に異常を持った嬰児は大学病院へと移されるが、息子の死を願いながら旧知の友人、火見子と体を重ね、自ら禁じていた酒に手を出し、背徳と絶望の日々を送っていた。わが子にふりかかる運命を受け入れることに迷い、その生と死の間で揺れ動く様を描く物語。
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『透明な夜の香り』千早茜 (著)

坂の上の森を抜けた洋館で掃除や雑用のアルバイトとして採用された一香。雇い主である小川朔は、人並み外れた嗅覚を持つ調香師であり、彼の幼馴染の探偵・新城とともに、客が望む様々な「香り」を作り出していた。あらゆる香りを嗅ぎ分け、記憶し、忘れることがないという朔は、その能力ゆえに深い孤独を抱えることに一香は気づく。
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『ある人殺しの物語 香水 』パトリック ジュースキント (著)

十八世紀のパリ。悪臭漂う世界に生まれ落ち、孤児として育ったグルヌイユ。あらゆる匂いを嗅ぎ分けるその能力を買われ、香水調合師のもとで技術を学び、パリの人々を陶然とさせる香水を作り出す。ある祭りの夜、流れ出る芳香に導かれたグルヌイユ。それは処女の体臭であり、この香りを自分のものにしようとしたグルヌイユは少女の首に手をかける。
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『今度生まれたら』内館 牧子 (著)

佐川夏江は、己の年齢を目にしてショックを受ける。同年代でもなお一線で活躍し続ける女性もいる中、自分の可能性を生かすことなく七十という取り返しのつかない年齢になってしまった。これまでの生き様を振り返りつつ、少しでも人生をやり直そうと夏江はあがく。
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『渇水』河林 満 (著)

市役所水道部の職員である岩切は、水道料金を滞納している世帯を訪問し、集金を呼びかけ、それでも支払われない場合は給水を止める仕事をしている。三年分滞納している小出家はいつ訪問しても大人の姿が見当たらず、幼い姉妹だけが対応する。やむなく停水執行の時を迎え、作業を行う岩切と相棒の木田に、帰ってきた姉妹が声をかけた。「もう、お水止まってしまうの?」。
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ひと目でわかる!イラストブックレビュー『木になった亜沙』今村 夏子 (著)

小さなアパートに母と二人で住んでいた亜沙。友人に、と頑張って手作りしたクッキーも、教室で飼っていた金魚も、給食当番の時でさえ亜沙の手が携わると誰も食べ物を口にしない。母が入院し叔母夫婦のもとへ、そこからまた山奥の更生施設へ入った亜沙。施設での暮らしもあと数日となった頃、仲間とスキー場へ向かった彼女は木にぶつかって木を失う。目覚めた時、亜沙は願いが叶ったことを知る。
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『ポトスライムの舟』津村 記久子 (著)

時間を金で売っているような気がする。そう感じながら薄給の工場勤務を続ける29歳のナガセ。ある日、工場の掲示板に貼ってある、あるNGOが主催する世界一周クルージングのポスターが目についた。その参加費費用、163万円がこの工場の年間の手取りとほぼ同額であることに気づいたナガセは、その金額を貯めようと決意する。
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『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』椰月 美智子 (著)

小学六年生の仲良し三人組、拓人、忍、宇太佳はスケボーにハマっている。練習していた公園がスケボー禁止となり、途方にくれた三人は花木神社の前の通りを使うことを思いつく。練習をしていると管理人と思われるおじいさんが話しかけてきた。スケボーに興味を示したおじいさんに渋々貸してあげると、おじいさんは転倒して骨折。三人はこのおじいさん、田中喜一さんの骨折が治るまで通いでお世話をすることになり…。
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『かすがい食堂 夢のゆくさき』伽古屋 圭市 (著)

祖母の駄菓子屋を継ぎ、その店を使って子ども食堂を始めた春日井楓子。ある日、商店街で気になる女子高生を見つける。彼女がヤングケアラーであると感じ、楓子はかすがい食堂に参加してみないかと声をかける。何度か断られたものの、弟と参加してくれた女子高生、三千香に「良いことをしている自分が好きなのでは」という言葉を投げられ、楓子は落ち込んでしまい…。
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『動物農場〔新訳版〕』ジョージ・オーウェル (著)

メイナー農場の動物たちは飲んだくれ農場主ジョーンズをお言い出し、農場を自分たちのものとした。すべての動物は平等であるという理念のもと優れた頭脳を持つブタのナポレオン、雄弁なブタのスノーボールらをリーダーに動物たちだけで運営する「動物農場」を設立。協力し、助け合いながらやってきた動物たちですが、そのルールは少しずつ変化し、農場内の動物間でも格差が出るようになり…。