『浮遊霊ブラジル』 津村 記久子 (著) 文春文庫
あらすじ
定年退職した男が故郷へ戻り、生活をはじめる「給水塔と亀」。死んだ女性小説家を待ち受ける物語地獄とは。「地獄」。初の海外旅行を目前にして急逝した私が幽霊となり、旅人に取り付いて目的地のブラジルを目指す「浮遊霊」。他、鋭いユーモアと自由に満ちた七つの短編集。
男性の自由な生活から女性作家の地獄での様子まで、楽しく自由な短編集
定年退職した男性は、故郷へ戻り自由で気ままな生活をはじめます。自転車をこぎ、記憶の中の給水塔をさがし、管理人にすすめられた亀を飼うことに。流されるママに生きてきた男と、流れていく風景にほの温かいものを感じさせる「給水塔と亀」。
また、バス事故で友人と二人、命を落とし地獄に落ちた女性作家は、様々な苦しみを体験。地獄内のシステムや人間関係を卓越したユーモアセンスで描きます。
まとめ
人間を斜めから見ているような面白さと、その人間を取り巻く環境や社会を俯瞰的に眺める目線を持つ、自由で暖かな短編集。
<こんな人におすすめ>
ユーモアがありながらどこか物悲しさを感じる物語を読みたい
自分を中継しているかのような客観性を持った話が好き
津村 記久子のファン
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