街の古くから因習が人々の運命を狂わせる

『冬雷』  遠田 潤子(著)  創元推理文庫

あらすじ

鷹匠として働く夏目代助。彼の元に、12年前に行方不明となった義弟・翔一郎が遺体で発見されたという連絡が来た。施設育ちの代助を養子として迎え入れてくれたのは、街の名家である千田家。しかし、義弟の死を悼むため町へ戻った代助は、事件の真相を探り始める。

旧家の跡継ぎとして引き取られた代助に降りかかる運命

千田家は町を支える旧家であり、神社とともに伝統的な神事を支え、鷹に仕える役目を持っています。子宝に恵まれなかった千田家は代助を跡継ぎとして引き取り、父親の雄一郎は彼を厳しく育てます。

しかし数年後、弟が産まれ、代助の立場は跡継ぎでは無くなります。それでも「家族」である小さな弟をかわいがっていた代助。弟が行方不明になると、代助は一方的に疑われ、ついに家を出ることになってしまうのです。

まとめ

街に残る古い因習のために人として生きるのに必要なものを犠牲にしてきた者たち。守るために失うものが多すぎ、何のために生きているのかわからなくなる面も。神事の中での雪、雷、鷹。冷えているけれども激しい胸の内を描く、読む者の胸を打つ人間ドラマです。

<こんな人におすすめ>

古い因習に囚われた街の閉塞感を描いた話に興味がある
町の因習に人生を振り回される者たちの物語を読んでみたい
遠田 潤子のファン

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