こちらは最後まで読んだ人間が
誰もいない、という謎の本を
めぐる物語よ。
誰も最後まで読んだ人間がいない?
結末を知る人間がいないってことか。
そうなの。ラストまで読むことなく
なくなってしまう本に魅せられた人たちが
その「物語」の続きを知ろうとするのよ。
なんとも不思議な話だなあ。
物語の続きをどうやって
知るんだ?
『熱帯』 森見 登美彦 (著) 文春文庫
あらすじ
作家・森見登美彦は東京で編集者と打ち合わせをした後、友人とともに「沈黙読書会」なるものに参加する。
用意していたのは「千一夜物語」だが、昔読んだ「熱帯」という小説を思い出す。
読書会の会場には、何とその「熱帯」を持った女性がおり、「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」と言う。
そうして彼女は「熱帯」について語り出した。
小説「熱帯」に魅せられた人たち
叔父が営む模型店の手伝いをしている女性、白石さんは客である池内氏と会話を交わすようになり、彼女は「熱帯」という小説を読んだことがある、と彼に話します。
そして彼らの読書会へ参加することに。
彼らは「熱帯」を読んだことがあるが、誰一人結末にたどりついた者はおらず、互いの記憶を呼び起こしながら読書地図のようなものを作成していました。
舞台は京都へ
その後メンバーの一人である老女・千代さんに「二人で話したい」と呼び出された白石さん。
不思議なひとときを過ごした後、千代さんは京都へ。
後を追うように池内氏も京都へ向かい、そこで彼も「熱帯」の世界へ入り込んだような不思議な体験をします。
彼はそこから抜け出せるのか。
また、誰もが読むことのできていない物語の続きとは。
まとめ
「熱帯」という物語をベースに「千一夜物語」をキーワードにして様々な物語が生まれ、つながり、重なっていきます。
新しい世界に引き込まれるドキドキ感と、戻れるのか、という恐怖。
読む者の数だけ物語が生まれてくるような、不思議で、のめり込んでしまうお話です。
<こんな人におすすめ>
物語が幾重にも重なり広がるような不思議な物語を読んでみたい
本の中に入り込んでいく怖いようなワクワクした感じを味わいたい
森見 登美彦のファン
物語の中からさらに物語が
生まれてくる!!なんちゅうすごい
世界観だ!!
物語の世界に取り込まれて
いくような、そんな感覚に
陥るわね。
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