こちらは江戸時代の寺子屋で
子供達を教えている若い尼さんが
子供達とともに自身も成長していく
姿を描いた物語よ。
若くして尼さんかあ。
何か事情があったのかな。
先生をやっているってことは
子供達に教えるのが得意なのかな?
算術が得意のようね。
考えると夢中になってしまう部分も。
子供たちのことは気にかけているけれど
自分は行き届いてないのでは、と悩んだり
しているわ。
なるほどねえ。寺子屋で
子供達が学ぶ様子と、先生がどうやって
教えているのか。通わせてる親たちの
様子なんかも気になるな。
『江戸寺子屋薫風庵』 篠 綾子 (著) 小学館文庫
あらすじ
江戸の下屋にある「薫風庵」は、元遊女で大店の主人の妾でもあった五十一歳の尼、蓮寿と秋田からやってきた二十三歳の尼、妙春、そして十二歳の飯炊き娘の小梅の三人が住んでいる。
この庵は住まいのほか、寺子屋としても使われており、妙春が教鞭をとり、近くに住む二十人の子供たちが学んでいる。
ある日、隣家の大造が寺子に盆栽を折られたと怒鳴り込んできた。
さらに城戸宗次郎と名乗る浪人が現れ、妙春とともに子供たちへ教えるようになると、妙春は複雑な想いを抱くようになり…。
子供のトラブルと新しく教師となった浪人の正体
秋田で藩の若者を指導していた父のようになりたい。
そう思っていた妙春は縁があってこの薫風庵で子供達を教えることになりました。
算術が好きで考えていると時を忘れてしまうこと、子供たちの成長を見守ってはいるが、蓮寿のように気の効いた対応や楽しい会話ができなくて、今ひとつ自分に自信が持てずにいます。
そんな中、隣家の大造が寺子に盆栽の枝を折られた!と言ってきました。
はっきりと姿を見たわけではないが、他の家にも手習いの書き損じを丸めた紙が放り込まれたり…。
子供たちは「自分はやっていない」と言うのですが。
また薫風庵のそばで一文無しで行き倒れていた浪人、城戸宗次郎が別の棟で過ごしつつ、妙春とともに子供たちに教えることになります。
宗次郎の指導や視点に感心しながらも、彼の正体が気になる妙春が取った行動とは。
まとめ
子供たちの個性は色とりどり。
何ものにも囚われることなく成長していってほしいという思いが伝わってくる、尼さんと子供たちの成長物語です。
<こんな人におすすめ>
寺子屋の若き女教師が子供達とともに成長していく話に興味がある
寺子屋に通う子どもや親たちの問題を描いた話を読んでみたい
篠 綾子のファン
どんな時代も親が子を思う心は
同じなんだなあ。真面目な妙春も
彼女しかできないやり方で
子供達をあたたかく見守っているのがいいね。
ミステリー要素も含みつつ
子供と若い先生の成長を描く
現代版「二十四の瞳」ね。
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