こちらはちょっとした食事と
惣菜を売るお店を切り盛りする
江戸時代のバツイチ女性を描いた
物語よ。
ほうほう。江戸時代の
イートインスペースがある弁当屋
みたいなカンジかな?
バツイチ女性かあ。女ひとりで店を
やっていくのも大変そうだが。
主人公のお雅の実家は料亭なの。
離縁後には実家で料理の修行ののち
店を開くわ。元旦那の父親が
彼女に良くしてくれていて常連客でもあるの。
へえ。元旦那の父親と良好な関係なら
離縁の原因はお雅にはないってことなのかな?
どんな料理とお客たちが出てくるのか
楽しみだぜ。
『おんなの花見 煮売屋お雅 味ばなし』
宮本 紀子 (著)文春文庫
あらすじ
下り酒問屋の大店の内儀であったお雅は、夫と離縁し、京橋南にある水谷町で煮売屋を営んでいる。
店で朝飯を食べていく近所の職人たちや、夕飯の一品に加えたいとお菜を求める長屋のおかみさんなど、常連もついて何とかやってきた。
そんなお雅のもとに気難しい差配が現れたり、常連客の色恋沙汰に巻き込まれたり、なんと元の亭主が店にやってきたりと様々な出来事が起こる。
江戸の人情と季節を感じる物語。
迷惑極まる差配に頭を抱えるお雅
夫の妾に子が出来、追い出されたような形で一人身となったお雅に手を差しのべてくれたのは義父の久兵衛でした。
物件を見つけ、店をやらないかと雅に声をかけ、その費用も工面してくれて、今では立派なひいき客です。
住み込みで働く十六のお妙とともに、旬の食材で献立を考え提供するうち、何とか常連もつきました。
ところが近所の差配が、長屋のおかみさんたちが夕飯のお菜を買いに来る時間になると店の前に立ち「それくらい自分で作れ」と説教するのです。
おかみさんたちは店から足が遠のくし、差配と揉めると後々面倒なことになる。
頭を抱えるお雅ですが…。
まとめ
バツイチ子なし、二十六歳のお雅が煮売屋「旭屋」を切り盛りしていく物語。
旬の食材を活かした料理を作り、「おいしい」と言って食べてもらえることが幸せ。
そんなシンプルな考えのお雅ですが、元亭主や料亭を営む実母との関係などその思いを揺らす出来事が次々と現れます。
自分の気持ちを見失いそうになるときもあるけれど、答えは自分の中にある。
おいしい料理はそれを気づかせてくれる存在なのだと感じる物語。
<こんな人におすすめ>
おいしい料理と江戸人情を描いた物語に興味がある
現代にも通じるような、食や女の生き方を描いた江戸時代の話を読んでみたい
宮本 紀子のファン
元亭主との「思い出」にぐらついたり
味に自信をなくしたりと等身大に
今を生きる雅の姿がリアルでいいな。
旬の食材を使ったメニューも、いかにも
体に染み込んでいきそうで食べたくなるぞ(≧∀≦)
現代にも通じる部分のある
江戸時代の食を通して
女の生き方を描く物語ね。
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