こちらは東京のキャリアウーマンだった
女性が、京都の由緒ある家の息子と
結婚すべく奮闘する物語よ。
奮闘?どちらかの親に
結婚を反対されているのか?
そうなの。息子の十一歳年上であること、
東京出身などの理由から彼の親から反対されて
いるわ。特に母親が強い態度で反対しているわね。
ひえ〜 京女を敵に回すと
恐ろしいことになりそうだな。
無事に結婚を認められるといいんだが。
『若旦那のひざまくら』坂井希久子 (著)双葉文庫
あらすじ
百貨店のバイヤーとして働いていた三十八歳の長谷川芹は、京都西陣織の由緒ある織屋の一人息子、板倉充と恋仲に。
充の両親は十一歳年上の芹との結婚に大反対。
芹は充とともに京都に移り住み、なんとか二人の結婚を認めてもらおうとするのだが。
キャリアウーマンと若旦那の結婚の行方は
パワフルで猪突猛進型の芹は、おっとりとしていながら自分のダメなところも素直に認め、包みこんでくれるような優しさを持つ充と交際することに。
「両親に会ってほしい」と言われ、充の両親と顔を合わせたところ、歳が離れすぎている、東京の人に京都の暮らしは合わないのでは、と遠回しに反対されます。
季節に合った着物を着ていけば、何か違和感の残る言い方をされ、充の幼なじみで芸妓の菊わかとは若さ、美しさ、作法などを比較され、なかなかうまくいかない芹。
充の父親が、東京に西陣織の店の出店を考えている、と聞いた芹は、バイヤー時代の知識と経験を生かし、出店のコンセプトや販売戦略を熱意を込めて語り、彼らを唖然とさせてしまうのですが…。
まとめ
びっくりするような嫌味やあてこすりがわんさかと出てきて、「京都の人はこんな風に言うのか」と勉強になります(笑)。
それでも芹が落ち込みすぎることなく、自分の得意ジャンルで突き進んで行けるのは、あたたかな若旦那のひざまくらがあるから。
その場所は、自分らしさを取り戻し、明日への一歩を踏み出す力を芹に与えてくれるのです。
<こんな人におすすめ>
由緒ある京都の店の跡取り息子と結婚しようと奮闘する女性の物語を読んでみたい
京都の風習や西陣織などの伝統芸能の現状を描いた話に興味がある
坂井希久子のファン
ただ頑張るだけじゃなく
彼の母親の心理を理解してやれるところが
芹の年齢に沿った落ち着きであり
いいところだよな。
二人の結婚、老舗の発展と継続、
文化の継承など、幅広いテーマが
ありながら、軽快な文章で
最後まで一気に読める物語ね。
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