こちらは時の流れと
人の心の隔たりや繋がりを描く
SF短編集よ。
SFかあ。時空の流れがどうとか
あんまり難しい話は苦手なんだけど。
もちろん物理や科学的要素が
あるけれども、丁寧に描かれた
背景や人間ドラマによって
SFという舞台がより輝きを増すのよ。
へえ〜 そうなんだ!
それはちょっと読んでみたいかも!!
『なめらかな世界と、その敵』
伴名 練 (著)ハヤカワ文庫JA
あらすじ
いくつもの平行世界を自由に行き来する少女たちの前に現れた異質の存在とは(「なめらかな世界と、その敵」)。
修学旅行から戻る新幹線が、かつてない事故に遭い、クラスメイトたちをなんとか助けようとするのだが(「ひかりより速く、ゆるやかに」)。
時の流れと人の心の隔たりと繋がりを描き出す、六つの物語。
修学旅行から帰ってこれないクラスメイトたち
夏の盛り、暑さに目を覚ますと窓の外は一面の銀世界。
今日は父の命日だから早く帰って来て、という言葉に返事をしながら、父と母に見守られ学校へ行く架橋はづき、高校二年生。
中学の頃越していった友人、マコトがまたこちらに戻ると聞いて喜び、バイトのシフトを頼まれ了承する…と季節や時空を超え、幾つもの世界を自由に行き来することができるはづきたち。
転校してきたマコトとの再会に喜ぶはづきですが、マコトからは「必要がなければ近づくな」と言われ…(「なめらかな世界と、その敵」)。
在校生百十九人を乗せた新幹線が停止。
車輌に入ることも、動かすこともできず、乗客たちは何かの途中の動作で止まっています。
よく調べてみると、ほんのわずかずつ彼らと新幹線は動いている様子。
修学旅行に参加しなかったハヤキは彼らをもとの世界に返そうとするが…(「ひかりより速く、ゆるやかに」)。
まとめ
空間の歪み、脳に埋め込むインプラント、機械の神様に守られる国。
科学的な見たこともない世界をのぞく楽しさとともに、必ずそこに人間が存在し、生きることで生まれるドラマがあります。
SF好きさんも苦手な方にも楽しめる、心に染み入るSF短編集です。
<こんな人におすすめ>
予想外の設定とラストを迎えるSF短編集を読んでみたい
SFは難しそうで苦手だなあと思っている
伴名 練のファン
未知の力に翻弄されるだけじゃない
彼らの生きようとする強さに胸が
熱くなるぜ!
特殊な環境に置かれてもなお
自分の軸をしっかりと持って
生きていけるのかと問われて
いるようにも感じるわね。
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