
こちらはある古書をめぐり
行方不明者や死者が出るなど
不穏な出来事が起こるの。
その正体を女子大学生が
探っていくお話よ。

へえ〜。いったいどんな
本なんだ?

散佚書と呼ばれるまとまった
物語がバラバラになって
あちこちに伝わる『あさとほ』という
物語なの。彼女の担当教授も行方不明に
なってしまうのよ。

穏やかじゃないな。その物語に
いったいどんな力があると
いうんだろう。
『あさとほ』新名 智 (著)角川文庫
あらすじ
新宿区にある大学の文学部に通う大橋夏日は大学四年生。
ある日、担当教授である藤枝が行方不明に。
このことに関心を持ち探っていた同級生、亜津沙は自室で死体となって発見される。
彼女は散佚した古典の物語「あさとほ」について執拗に調べていた様子。
夏日はかつて存在していたものの姿を決してしまった双子の妹、青葉を思い出す。
関わった者たちがいなくなっていく「あさとほ」の正体とは一体何なのか。
関わった者たちが姿を消す謎の書「あさとほ」
藤枝教授が行方不明となり一ヶ月。
当初は友人の亜津沙や澪と先生を捜そうとしていたものの、卒論の準備や新しい先生とのやりとりで忙しく、気がつけばそれだけの時間が過ぎていた夏日。
キャンパスで久しぶりに澪を見かけ声をかけると、元気がない様子。
聞けば亜津沙が授業に来ておらず、連絡も取れいとのこと。
二人で彼女のアパートに向かい、鍵のかかっていなかったドアを開けると室内は大量の本と論文で埋め尽くされていました。
ノートパソコンを開くと書きかけの論文らしきものが。
それは二人とも聞いたことのない、「あさとほ」という物語について述べられていましたが、その文章はやがて考察から離れ、自分の能力が足りず友人らからも卑下されているといった独白に変わっていきました。
頭痛を感じて立ち上がり、ユニットバスに続く扉を開けると、そこには水を張った浴槽に浸かった亜津沙の死体が…。
亜津沙を死に追い込んだ人物がいるのではないかと憤る澪を止めた夏日の脳裏に、かつて確かに存在していたのに誰も覚えていない双子の妹・青葉のことが浮かびます。
亜津沙の葬儀からの帰り道、夏日は一人の男性と出会います。
彼は青葉がいなくなった時に夏日と一緒に居合わせ、なおかつ青葉が存在したことを夏日以外に知るたった一人の人間・明人でした。
亜津沙の死、そして「あさとほ」という物語を調べることに協力するかわりに、青葉を見つけることを手伝う。
夏日は明人と約束を交わし、調べはじめるのですが。
まとめ
題名だけが伝わり続け中身が散佚したと思われる物語「あさとほ」。
関わった者たちが姿を消していくこの謎の「お話」の正体とその力はどういったものなのか。
少しずつ明らかになっていく真実、そして全てを呑み込んでいくような物語の強さ、不気味さに背筋がヒヤリとします。
ラストを迎えたあとのエピローグでさらなる衝撃を受ける、物語が持つ可能性というものに震えが止まらなくなる物語です。
<こんな人におすすめ>
謎の古書を巡り巻き起こる様々な事件の真実を探るホラーミステリーを読んでみたい
現実と物語の境目が曖昧になっていくような恐ろしさを感じる物語に興味がある
新名 智のファン


『あさとほ』の正体って
そういうことだったんだな!
そこに魅せられた者たちの
末路が怖い…

物語が持つ可能性に怖れとともに
圧倒的な力を感じる、現実と幻想の
境目が曖昧になるかのような物語ね。
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