
こちらは明治の頃、日本人としての
生き方を強いられたアイヌ人と
ロシア人として生きることを
押し付けられたポーランド人の
二人の生き様を描く物語よ。

日本がヨーロッパ勢に対抗すべく
張り切っていた時代だよな。
そんな時代のアイヌ人とポーランド人か。
今より差別なんかもあからさまだったり
しそうだな。

そうね。強国が自国のルールに
少数民族を従わせるという構図が
できていたのね。当時の樺太や北海道の
様子なども描かれているのよ。

ほほう。少数民族がどんな
暮らしぶりだったのか、
ほかの日本人たちとの関係は
どんな様子だったのか。気になるな。
『熱源』川越 宗一 (著)文春文庫
あらすじ
明治期、樺太で生まれたアイヌのヤヨマネクフ、リトアニアに生まれたブロニスワフ・ピウスツキ。
文明の遅れにより滅びゆく民族であるとされ、日本人としての生き方を押し付けられたアイヌ人と、故郷の国を乗っ取られ母国語を話すことすら禁じられロシア人にされそうになったポーランド人。
文明をたてに、アイデンティティをも揺るがされた二人を突き動かす『熱』とその生き様を描く冒険歴史小説。
時代の波に翻弄されるアイヌ人とポーランド人
樺太で生まれたアイヌのヤヨマネスクは九歳の頃、親とともに北海道へわたり対雁村で暮らしていました。
学校では維新ののち軍をやめて教鞭を取る情熱的な教師のもとで、日本人とともに学んでいました。
卒業後、外の世界を見てみたいと石狩の炭鉱で働き、戻ってきてから村一番の美人、キサラスイと結婚。
子供も生まれますが、天然痘で妻は亡くなってしまいます。
そして息子とともに樺太に帰ります。
一方、ロシアで革命運動に関係したとしてブロニスワフはサハリン島へ流刑となります。
現地の異族人、ギリヤークと親しくなり、彼らにロシア語を教える代わりに、彼らの言葉や現地の生活の知恵を学びます。
やがて民俗学者としての道も拓け、調査中に知り合ったアイヌの女性と結婚するのですが…。
まとめ
文明国の仲間入りを果たそうと必死な日本、そして戦争。
国が持つ大きな力や文明を良しとし、土着の少数民族を卑下し、教育という名のもとにその存在を塗りつぶそうとする大国。
その大きな力に抗うエネルギーは生まれ育った場所の、人間としての「熱」から生じるもの。
そんな風に感じる壮大で胸が熱くなる物語。
<こんな人におすすめ>
明治以降の近代化に巻き込まれたアイヌの状況を描いた話を読んでみたい
日露戦争頃の樺太(サハリン)の様子に興味がある
川越 宗一のファン


国が近代化へ猛進していた陰で
その存在が危機にさらされていた
人々がいたんだな…。

生き方の形は変わっても
根本にある「熱」があれば
失うことはない。そんな風に
感じさせてくれる物語ね。
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