
こちらは死後四十九日の範囲内で
虫や鳥、犬や猫など希望の生き物の
姿を借りて元の世界へ戻れる
サービスのお話よ。

へえ!粋なサービスだなあ。
どんな生き物でも好きなのを
選んでいいわけ?

生前に積んだ徳が所持ポイントと
なっていて、その範囲内で
生き物を選べるのよ。虫などは
少ないポイントで選べることができ
鳥や犬、猫など大きな生き物になるに
つれてポイントも高くなるの。

なるほどねえ。とはいっても
すでに死んでいることだし、手持ちの
ポイントから選ぶしかないよなあ。
みんな何を選んで現世にもどって
誰に何を伝えるんだろう。
『冥土レンタルサービス』藤崎 翔 (著)講談社文庫
あらすじ
冥土の世界には生き物の姿を借りてしばらく現世に戻ることができるサービスが存在する。
虫や鳥、犬や猫など生前に積んだ徳により付与されるポイントに応じて希望の生物を選ぶことが可能。
冥土へとやってきた八人の男女は、どの生物を選択し、現世で誰に何を伝えるのか。
保有ポイントから現世に戻れる生物を選択
気がつけば一面灰色の世界にいた平岡文子は、どうやら自分は死んだらしい、と思い当たります。
95歳で病室で寝たきりとなり苦しい状態が続いていたため、肉体を喪っていっそすがすがしいほどです。
肉体がないかわり、QRコードとなっていて何となく先を進んでいくと『冥土レンタルサービス』という看板を掲げた屋台のような小さな建物を発見。
そこにはホテルマンのような制服を着た女性がいて、文子にQRコードを付け、このサービスについて解説。
生前積んだ徳に応じて付与されたポイントを使って生物を選び、死後四十九日の範囲で現世に戻れること。
生物が破壊されると現世から消えポイントも失われること。
危険を感じた時は『やめます!』『戻ります』と強く念じると事故ポイントは引かれず、それよりも少ないリトライポイントを引かれて再び現世に行けること。
説明を受けた文子は鳥のメジロを選択し自分の葬儀へ。
孫の遥馬が自分を指し、「みどりの鳥さんいる!」と言ったものの他の親族たちは「おばあちゃんの生まれ変わりでは」などとは感じていない様子。
いったん冥土へ戻り、気を取直して残ったポイントを使って初恋の人へ会いにいくことにした文子。
戦争が終わったら結婚しようと誓った重雄は空襲で家が全焼し転居することとなり、そのまま連絡がつかなくなり文子も別の男性と結婚したのでした。
末期癌であり、ホスピスで過ごしているという重雄のもとへ再びメジロの姿となって向かった文子ですが。
まとめ
身近な人が亡くなった後、チョウチョや鳥が飛んでくると『あの人の生まれ変わりじゃないか』と話すことがありますが、これがポイント制で実際にサービスとして提供されているお話。
生物としてできることには限りがあるものの、何とか残された者たちを攻撃したり救おうとする姿に笑ったり、ホロリとさせられたり。
自分だったらどんな生物になって誰に会いに行くかな?と考えるのも楽しい物語です。
<こんな人におすすめ>
死後に虫や鳥などの生き物になって現世へ戻ることができる話に興味がある
死後に姿を変え恨みを晴らしたり家族を助けたりする笑いあり涙ありの物語を読んでみたい
藤崎 翔のファン


前半ニヤニヤしっぱなし
だったけど、まさかの
ラストで泣かされたぜ…( ̄^ ̄゜)

自分ならばどんな生き物の
姿を借りて誰に会いにいくかと
考えるのも楽しい物語ね。
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