こちらは二人の女性を殺害した男を
弁護する女性が、事件を調べるうちに
その裏にある驚くべき真実に辿り着く
ミステリーよ。
二人も殺したのか!
逮捕ってことは、そいつが
やったという証拠も揃って
いるんだろう?
犯人は送検の際に満面の笑みで
ピースサインを出して話題になるわ。
なんと犯人を救う会なるものがあり
数名の女性が名を連ねていて
彼女たちから弁護の依頼を受けるの。
救う会?何人もの女性が?
女たらしなのかなんなのか…
犯人はどんな男で、なぜ罪を
犯したんだろう?
『屑の結晶』まさきとしか (著)光文社文庫
あらすじ
三十三歳の小野宮楠生は二人の女性を殺害した容疑で逮捕された。
「誰を殺そうと俺の自由だろ」と供述し、送検時には満面の笑みでピースサインを出す。
「小野宮楠生を救う会」からの依頼で彼の弁護をすることになった四十九歳の弁護士、宮原貴子は楠生との接見で違和感を覚える。
態度や言動に一貫性がなく、つかみどころのない楠生の本心とは何なのか。
クズ男の態度と言動の裏に隠されたものとは
清掃スタッフの女性、そして元交際相手と二人の女性を殺害した容疑で逮捕された小野宮楠生は、その言動と態度から世間を騒がせます。
そして彼と親しかった女性たちで結成された「小野宮楠生を救う会」が、彼は無実なので弁護してほしい、と貴子へ依頼します。
世間から「クズ男」と呼ばれている楠生は、貴子を見るなり「なんだ、ババアかよ」と吐き出した後、あはっと笑い「嘘、嘘。俺の弁護よろしくね」と人なつこい様子を見せます。
二件の殺人容疑を一度認めた後、一件は否定し、再び認める楠生。
やがて、楠生が小学生の頃、父親の育児放棄により餓死寸前の状態で発見され、以降児童養護施設で育ったという過去が週刊誌の取材で明らかに。
事件関係者への聞き取りに行き詰まりを感じていた貴子は楠生が発見された団地があった場所へと向かいます。
そこで見つけた被害者との接点とは。
まとめ
人を殺すのを何とも思わない、多数の女にぶら下がって生きる、という見事な屑っぷりの楠生。
そこに感じる違和感の正体を探ろうとする貴子には、自身にも抱え続ける問題があります。
楠生の言動や態度は長年積み上げて完成した屑の結晶です。
その幾重にも屈折した光の奥には、傷を持つ者に刺さる強い輝きがあるのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
屑のような男が殺人を犯した動機が何なのか気になる
心を深くえぐるような衝撃を受けるミステリーを読んでみたい
まさきとしかのファン
『屑の結晶』の意味よ…!
なんと痛くて切ない・゚・(ノД`)・゚・。
心が深くえぐられるような
強い衝撃を受けるミステリーね。
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