ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『ベーシックインカムの祈り』井上 真偽 (著)

のこ
のこ

こちらは近未来を舞台に

発達した技術が人々に

もたらした環境や価値観の変化を

ミステリ仕立てで描く短編集よ。

ぬこ
ぬこ

近未来ミステリーか。

おもしろそうだな。どんな

内容があるんだ?

のこ
のこ

VR視聴を楽しんでいた夫婦の

妻が失踪してしまった謎、

保育園の園児が乱暴するように

なった謎を解明する保育士、などね。

ぬこ
ぬこ

ほほう。保育園で近未来の

技術が?何なのか気になるぜ!

『ベーシックインカムの祈り』

井上 真偽 (著) 集英社文庫

あらすじ

日本語が好きで勉強中であり、保育園で働くエレナは子どもの日々話す言葉からその内容を分析していく(『言の葉の子ら』)。

VRを楽しんでいた夫婦。

しかし、ある日突然妻が失踪してしまう。

夫は妻がいなくなる前にいっしょに見ていたVR作品を眺めながら失踪の理由と居場所について思考を巡らしていく(『もう一度、君と』)。

恩師が私の家にやってきた理由。

それは私を疑っているからなのではないか。

そして教授は私に問うた。

なぜ執筆している小説のテーマに「ベーシックインカム」を選ばなかったのかと(「ベーシックインカムの祈り」)。

AI、VR、人間強化、ベーシックインカム。

近未来に実現し得る技術を背景に描き出す本格ミステリ五編を集めた短編集。

教授がやってきた理由

年長クラスの福嗣君が、最近乱暴な態度を取っている。

他の保育士からそう聞いたエレナは福嗣君の言葉に注意深く耳を傾けます。

やがてある一つの結論に達したエレナは福嗣君の母親を呼び出して…(『言の葉の子ら』)。

事故で夫を亡くした私が細々と執筆しながら暮らしている家に、突然大学時代にお世話になった教授がやってきました。

そして私が書く小説に、なぜ卒論で取り組んだベーシックインカムを題材として選ばなかったのか、と聞きました。

しばしベーシックインカムについて論じあったのち、教授は研究室の金庫から研究費が盗まれたことを明かしたのです(『ベーシックインカムの祈り』)。

まとめ

近未来に実現可能な技術が浸透すると人々の価値観、倫理観、行動はどのように変化するのか。

また変わらない部分はどこなのか。

文明と人間の根源的なものを揺さぶられるミステリー短編集です。

<こんな人におすすめ>

AIやVRが日常生活の中に存在する近未来で起こるミステリを読んでみたい
現在の先端技術が当たり前になった未来の価値観はどうなっているのか興味がある
井上 真偽のファン

ぬこ
ぬこ

ああ!人気の保育士が!!

ありそうだなあ…。

VRは決着のつき方がいいな。

変わらない部分の描き方がいい。

のこ
のこ

技術が発達しても、案外人間の

根本的なところは変わらないもの

なのかもしれないわね。

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