こちらは依頼人の話から
たちまちその謎を解決する
街で評判の探偵のお話よ。
話を聞いただけで!
大したもんだな。
安楽椅子探偵ってやつかな?
そうなの。アイドルに
ストーカー行為を働く
中年男性の正体を暴いたりするわ。
他の関係者から事情を聞くでもなく
依頼人からの話だけで犯人が
わかっちゃうの?そりゃすごい。
どんな推理を披露してくれるんだろう。
『安楽探偵』小林 泰三 (著) 光文社文庫
あらすじ
街で評判の探偵事務所には、一風変わった依頼が持ち込まれる。
中年男性ファンに真似され続ける恐怖に震えるアイドル(「アイドルストーカー」)、人を消す能力を持つという社員の動向を知りたいOL(「消去法」)、何者かに太る薬を盛られていると訴える女性(「ダイエット」)。
事務所から一歩も出ることなく事件の真相を暴く「安楽探偵」の推理とは。
アイドルを狙うストーカー男の正体は
アポなしで事務所にやってきた長身の女性・富士唯香は現在休業状態のアイドル。
デビュー直後から奇妙な手紙が彼女の元に届くのだと言います。
それは彼女のグラビア等で撮影された写真の衣裳・メイク・ポーズを真似した中年男性の写真が入っているのです。
事務所側は直接被害があるわけではないから気にするな、という態度。
写真が送られる頻度が増え、唯香は心理的に追い詰められアイドルとしての仕事ができなくなり、引きこもり状態に。
しかし、自宅の郵便受けにまた手紙が入っており、こわごわ開けてみるとそこには唯香の前日の行動をそのままなぞった姿を撮影したあの男の写真が。
さらには部屋で食事をする男、テレビを見てくつろぐ男。
この男が映っている写真の部屋はどう見ても唯香の部屋だったのです。
警察沙汰にせず事件を解決してほしいという唯香。
話を聞いた探偵は彼女にいくつかの点を確認した後、犯人をズバリと言い当てます。
さらに気になる部分をサラリと言及し…(「アイドルストーカー」)。
まとめ
助手と屁理屈とも言えるようなやりとりを交わしつつも、依頼人の奇妙な依頼内容に耳を傾け、真相を明らかにしていく探偵。
物語のそこかしこに散りばめられた叙述トリックは読者を楽しませてくれます。
そしてそれらが集約された驚愕のラストに思わず声が出てしまう。
確実に二度読みしたくなる連作ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
依頼人の話を聞くだけで事件を解決する探偵の話に興味がある
構成と仕掛けが見事な連作ミステリーを読んでみたい
小林 泰三のファン
ええ〜!?
その推理の裏にそんな秘密が
隠されていたとは…?
謎自体もかなり凝っていて
そこに叙述トリックが加わる
ことで面白みが一層増すわよね。
見事に騙される、二度読み必至の
ミステリーよ。
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