こちらはあらゆる声を聞き分ける
能力を持つ少女・小夜と霊狐の
野火の、互いを呼び合う魂の物語よ。
ふむふむ。霊狐が登場と
いうことはファンタジーなのかな?
二人はどうやって知り合ったんだ?
野火が野犬に襲われていたところを
小夜が助けたことがきっかけね。
二人はその能力ゆえ、隣り合う
国の争いに巻き込まれてしまうの。
戦に巻き込まれた二人がどう戦うのか。
それに、生きる世界が違う二人が
どう生きていくのかが気になるな。
『狐笛のかなた』上橋 菜穂子 (著)新潮文庫
あらすじ
夜名ノ里のはずれに住む小夜は十二歳。
草木に宿る魂の声をも聞き分ける能力「聞き耳」の持ち主。
ある日の夕暮れ、犬に追われている子狐を助けた小夜。
この子狐はこの世と神の世の狭間である「あわい」に棲む霊狐・野火であった。
その能力故に隣り合う国の争いに巻き込まれた小夜と野火。
住む世界さえも異なる二人の響き合う魂の物語。
孤独な少女と霊狐がひたむきに互いを思う
祖母を亡くし、一人で里のはずれに暮らす小夜。
年越しの市へと出かけた小夜は、自分と自分が幼い頃に亡くなった母のことを知る人物、大朗に出会います。
その帰り道、山中で襲われそうになった小夜を、一人の少年が救ってくれました。
お礼を言う間も無く立ち去った少年は霊狐・野火が人間に化けていた姿。
その昔、野犬に追われていたところを助けてくれた小夜を、つかず離れずの距離で見守っている野火。
使い魔である野火は湯来ノ一族の呪者の支持に従い人や狐の姿を使い分け、人を殺すことも。
大朗や小夜の母は有路ノ一族のために、湯来ノ一族からの攻撃を防ぐことに身を費やし、小夜の母は命を落としました。
湯来ノ一族の呪いを避けるため、離れて暮らしていた有路ノ一族の第二子・助惟が後を継ぐことになり、湯来ノ一族の呪いを使った攻撃はさらに力を強めます。
隣り合う国同士の争いを止めようと領主に会いに行こうとする小夜。
そして小夜の力を知り、亡き者にしようとする呪者、その使い魔でありながら命に背き小夜を守ろうとする野火。
彼らの戦いの結末は、そして思いはどうなるのか。
まとめ
「聞き耳」を持つ少女と、使い魔である狐の、孤独な魂が互いを呼び合う物語。
隣り合う国の領主がその利権をめぐっていがみ合い、呪術の力を用いて世継ぎを亡き者にしようとします。
ひとりぼっちの小夜は、幼い頃助けた小狐を抱いた懐のぬくもりに胸があたたかくなり、野火もまた呪いという束縛を超えて小夜を守ろうとします。
ただひたすらにまっすぐと互いを求めあう姿がせつなく、そのひたむきさに心を打たれます。
そしてまた呪術により操られる狐たちの姿、能力を発揮し呪いをふさいでいく小夜の描写も、その世界が目の前に広がるような圧倒的な表現です。
その世界観とひたむきな二人の姿に引きこまれる物語です。
<こんな人におすすめ>
人や動物、植物の声が聞こえる少女と霊狐の引き合う魂を描く話に興味がある
呪術の力で敵を滅ぼそうとする歴史ファンタジーを読んでみたい
上橋 菜穂子のファン
なんという純粋な魂たち!!
感動の涙が止まらない〜
ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!
自然や呪術の描写は壮大で圧倒的。
その世界に入り込んでしまう感覚を
思い切り楽しめるファンタジーね。
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