こちらは北海道在住の作家、
北大路公子さんが愛猫を失った
悲しみを埋めるべく様々な植物を
育てていく様子を綴るエッセイよ。
淡麗でありながらユーモア
たっぷりの文章を書く
あのケメ子さんだな!
どんなものを育てるんだ?
キノコ、スプラウト、
ヒヤシンスなどね。
キノコ…?
なんだか不思議なラインナップ。
さてケメ子さんにかかると
どんな世界が展開されるのか。
楽しみだぜ!!
『ロスねこ日記』北大路 公子 (著) 小学館文庫
あらすじ
生活に猫が足りないことは、わかっていた。
飼い猫とお別れして十五年。
心にぽっかりと空いた穴が埋まることはないのだろうと考えていたある日、担当編集者のK嬢から「何かを育ててみてはどうでしょう」と提案される。
手始めにとすすめられたのは椎茸。
…何ゆえに?
北の大地で生育環境をあれこれと整えながら、キノコ、スプラウト、ヒヤシンスたちに名前と舞台設定を与え育てあげていく日々を綴るエッセイ集。
植物を育てることで愛猫を失った穴は埋められるか
愛猫を亡くして十五年。
SNSの猫画像を見ても、脳内で愛猫と戯れてみても、心にぽっかりと空いた穴は埋まりません。
そんな時、K嬢から何かを育ててみては、と言われ送られてきたのは椎茸栽培セット。
「さてさてめんこちゃん、お顔を見せ…うわあああ」と著者が叫んだのは木の切り株のようなものの一面に白い蕁麻疹のようなものがみっしりと浮き出ていたため。
この発疹のようなものがぐんぐん成長し、椎茸になっていく様子を見ていると不思議なような気持ちわる…(自粛)。
「けめたけ」と名付けられたキノコは五日で完成し収穫。
その後はスプラウトの種六種が到着、種の六つ子兄弟としてかいわれブロッコリーのわれ松、マスタード(からし菜)のから松、豆苗のまめ松、そばの芽のつる松、白ごまのもじゃ松、大豆もやしのひめ松とそれぞれ名付けて育てていきます。
途中ヒヤシンスたちがアイドルユニットを組んだり、しょうがの芽が出るのをじっと待ってみたり。
植物の成長は思わぬドラマを日常に与えてくれるのです。
まとめ
北海道在住の作家、北大路公子さんの植物を育てる日常を描くエッセイです。
話しかけても返事をしない植物相手に名前を付け、生きてきた背景を妄想し積みあげ、きれいに回収。
相変わらず自然なユーモアに満ち溢れた文章と構成力に思わず唸ります。
手放しの猫愛と笑いがたっぷりつまったエッセイです。
<こんな人におすすめ>
愛猫を失った悲しみを癒すために植物を育てる日々を描いたエッセイを読んでみたい
育てる植物たちが擬人化され怒涛の人生を送るという妄想が広がる、笑える話に興味がある
北大路 公子のファン
(≧∇≦)ブハハハ!!!!
植物を育てるだけなのに
そこには壮大なドラマが展開しておる!!
そして今回も期待を裏切らないおもしろさ!!
植物たちを擬人化しドラマ展開して
きれいにまとめていくという
見事なオチも素晴らしいわよね。
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