こちらは個性豊かな女社長で
有名な遊園地で働くスタッフたちの
悩みや気づきを描いていく物語よ。
遊園地かあ。そんな夢いっぱいの
職場で働くスタッフは笑顔に
溢れていそうなイメージだけど。
自分に自信がなかったり
いろいろと考えすぎていたり
家族とうまくいってなかったりと
スタッフたちは様々な悩みを
抱えているの。
なるほどね。そんな彼らは
どうやってその悩みと向き合い
解決していくんだろう?
『ほたるいしマジカルランド』
寺地 はるな (著)ポプラ文庫
あらすじ
大阪北部の蛍石市にある『ほたるいしマジカルランド』は、個性豊かな女社長と願いごとが叶うメリーゴーランドがあることで人気の遊園地。
ここで働く人びとはどこか不器用で何かしら悩みを抱えている。
お客様の笑顔のために頑張る彼らの日常がふとしたきっかけで動き出す。
仕事に自分にいまひとつ自信が
大学生の頃、ほたるいしマジカルランドでアルバイトをして、そのまま就職した紗英は、バイト時代から数えて勤務五年目になります。
地味で真面目、取り柄と言えば小学生の頃に先生から声をほめられたことが一度あるだけ。
自分の居場所とはどこにあるのか、と考えています。
ある日、インフォメーション担当の彼女のもとに一人の老人がやってきます。
孫とはぐれたという老人の話を聞き、園内の設備やキャラクター、そして「願いが叶う」と言われているメリーゴーランドのことを説明していきます。
今まで「何となく」やってきて人よりも前に出ようという気持ちに欠けていると、自分について感じている紗英。
老人は孫に向かって「遊園地のことなんでも知ってる。すごいんやで」と紗英のことを得意げに報告します。
「仕事ですから」と答えつつも、背筋が伸びるのを感じる紗英。
メリーゴーラウンドの鏡に映った、その自分の立ち姿を見て、悪くないな、と思うのでした。
まとめ
アトラクションやインフォメーション担当、清掃スタッフ、花や植木の管理。
遊園地では多くの人びとが働き、それぞれに人生があり、思い悩んでいます。
自分に自信がない、いろいろと考えすぎる、ケンカ別れした娘のことが気になる、付き合っている彼女のことを紹介できない。
一歩がなかなか踏み出せない時、思わぬ人びととの出会いやちょっとした言葉をかけてもらうことで、力を得ることがあります。
そうして一歩を踏み出せた人がまた誰かの背中をそっと押してあげる。
そんなつながりが胸をあたたかくしてくれる物語です。
<こんな人におすすめ>
遊園地で働く人々の人間模様を描いた物語に興味がある
思いがけない出会いややりとりで自分の道を見つけ出していく話を読んでみたい
寺地 はるなのファン
自分の良いところって
自分じゃ見えないもんだよなあ。
思いがけないやりとりから
それに気付けるっていうのはいいよな。
遊園地で叶うとされるちょっとした
願い事が、意外な人との繋がりを
見せるところもミステリ的な要素が
あって楽しめるわね。
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