こちらは認知心理学を用いて
容疑者が隠す真の動機を
暴く天才検事のお話、第二弾よ。
名前を名乗らない容疑者などが
登場するの。
名前を名乗らない?
とはいえこの時代、名乗らないから
名前がわからないってことも
なさそうだけどなあ。
ところが、保険証は同居人の
ものを借りていたり、名前が
必要なときはバイト先の源氏名を
使ったりしていたようなの。
つまり周囲の人も容疑者の本名を
知らないってことだから…
本人が名乗らない限り名前は
わからないってわけか。
なんでそんなに名前を口に
しないのかが気になるな。
『認知心理検察官の捜査ファイル 名前のない被疑者』
貴戸 湊太 (著) 宝島社文庫
あらすじ
千葉地検で検察事務官として働く朝比奈は、認知心理学を駆使して被疑者の嘘を見抜く優秀な検事・大神祐介の職務のサポートを行っている。
事件の取り調べでは本名を名乗らない被疑者や「風邪をひいたから殺した」と発言する被疑者などが現れる。
彼らの真意はどこにあるのか、そして事件の真相とは。
また、天才検事・大神の過去に関わる被疑者とは。
被疑者が名を名乗らない理由とは
同居していた女性を包丁で刺殺したとして逮捕されたのは「北条ルミ」という女性。
ただしこれはスナックでバイトをしていたときの源氏名で、日常の用事ではこの名前を使っていたようです。
事件については殺害の事実を認めていますが、本名を名乗らない被疑者。
保険証、免許証を所持しておらず、指紋に前歴もない「名無しの権兵衛」。
大神からの指示を受け、被疑者の本名を調べはじめた朝比奈は、事件のアパート付近で不審な男の姿を発見。
同行していた友永刑事がその後を追い…。
報告を受けた大神が翌朝の取り調べで「名無し」さんに持ちかけたのはカーレースゲームの対戦でした。
和やかにゲームを終えた後の質問で、大神はたちまち被疑者の嘘を見破ります。
また、女子高校生が殺害された事件では、他の事件と違い前のめりな様子を見せる大神。
どうやらその事件は彼の過去と関わりがあるようで…。
まとめ
優秀な変人オレ様検事と頼りない検察事務官、という関係性に少し変化が訪れたシリーズ第二弾。
忘れられない自分の過ちを抱えながらもまっすぐに事件と被疑者に向かっていく朝比奈は、いつの間にか大神にとって頼りになる相棒に成長していたようです。
完全無欠と思われた大神の脆い部分が逆に彼の魅力を高めています。
そんな彼らのこれからの活躍が楽しみなミステリーです。
<こんな人におすすめ>
事件の犯人が名を名乗らず、しかも身元がわからない謎に興味がある
前作『認知心理検察官の捜査ファイル 検事執務室には噓発見器が住んでいる』を読んだ
貴戸 湊太のファン
大神にそんな過去があったとは…。
そして朝比奈の成長ぶりが
眩しいな。二人はいいコンビに
なれるに違いない!
今回も興味を惹かれる
「なぜ?」が詰まった事件ばかり。
被疑者の「嘘」を見破る大神の腕前も
相変わらず見事だけれど、朝比奈の
仕事への向き合い方、決意が大神を
動かしていくところが見どころの
シリーズ第二弾ね。
前作『認知心理検察官の捜査ファイル 検事執務室には噓発見器が住んでいる』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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