こちらはアメリカ南部の湿地で
一人暮らしをしている女性、
カイアが殺人事件の犯人として
捕まってしまうお話よ。
へえ 一人で暮らしているんだ?
どんな暮らしぶりなんだろう。
それと殺人者として疑われる
ような人柄なのか?
幼い頃、家族が全員家を出ていって
しまい、学校へ行くこともなく
自分でお金を稼ぎ、食料を手に入れ
ぎりぎりの生活で暮らしていたの。
そんな彼女のために手を差し伸べて
くれる男性もいたのよ。
ほとんど外の世界との接点もなく
暮らしてきたのか…。そんな彼女が
心を開いた相手ってどんな奴なのかな。
それと被害者と何らかの関係が
あったんだろうか?
『ザリガニの鳴くところ』
ディーリア・オーエンズ (著), 友廣 純 (翻訳)ハヤカワ文庫NV
あらすじ
ノース・カロライナ州の湿地で、一人の若い男性の死体が発見された。
ハンサムなこの青年の名はチェイス。
彼が古い火の見櫓から落ちたのは事故なのか、それとも…。
村の人々は6歳の頃からたった一人で暮らしている「湿地の少女」と呼ばれるカイアへと疑いの目を向ける。
村人からの蔑みの目線を避け、湿地の豊かな自然に包まれひっそりと暮らしていたカイアは犯人なのか。
「湿地の少女」カイアと事件の関係とは
両親と、兄や姉たちとともに湿地の小屋で暮らしていたカイア。
酒を飲み、暴力を振るう父親から逃げるように母が家を出ていきました。
兄や姉たちも一人、また一人と出て行き、末っ子のカイアが父と二人で暮らし始めます。
見よう見真似で料理をし、父から受け取ったお金で人目を避けるように買い物をします。
学校には一度行ったものの、周囲からの蔑みの視線に耐えられず、1日で行くのをやめてしまいます。
カイアが10歳の頃、とうとう父親も出て行ったきり戻ることはありませんでした。
カイアは一人で食物や生活に必要なものを手に入れる方法を考え、燃料や釣り餌を扱う「ガス&ベイト」の店主、ジャンピンとその妻・メイベルに助けてもらいながら何とか生きていました。
やがて兄の友人・テイトと知り合い、文字を教えてもらい湿地の豊かな自然を学び、その愛を深めます。
心を寄せ合う二人ですが、テイトの進学で二人は離ればなれに。
独自に湿地を研究していたカイアは、その内容が評価され、本を出版するまでに。
そして村の青年、チェイスに惹かれ、彼の「結婚しよう」という言葉を信じて体を許すのですが、後日カイアが目にしたのはチェイスがある女性と婚約した、という記事。
怒りと悲しみに震えるカイアでしたが…。
ある日、チェイスが死体となって発見され、カイアはチェイス殺害容疑で逮捕されてしまいます。
事件当日、湿地で何が起こったのか。
まとめ
海の水が流れ込み、沼地が点在する湿地帯は様々な植物や動物たちが姿を見せ、それらは孤独な少女の心と体を包んでくれます。
カイアが生きてきた貧困と差別から、ようやく見つけた愛、そして裏切り。
自然の中で人と極力関わらず生きてきた彼女の喜びと悲しみはとてもピュアで胸が苦しくなるほど。
自然とカイアの強さと美しさにひれ伏す物語です。
<こんな人におすすめ>
家族に捨てられ一人ぼっちで湿地に暮らしてきた少女が殺人犯として疑われるミステリに興味がある
豊かな自然に包まれ、孤独と愛と絶望とともに生きてきた少女の話を読んでみたい
ディーリア・オーエンズのファン
孤独で人を寄せ付けないカイアは
まるで湿地のような自然の美しさと
強さに満ちているな。
まっさらな強さと美しさを
持つカイアの愛と孤独と絶望、
そして彼女を包む美しい自然に
引き込まれる物語ね。
映画では自然の美しさが映像で楽しめますね。
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