こちらは『木挽町芝居茶屋事件帖』
第六弾よ。何かと因縁をつけてくる
巴屋の主人、そして喜八が気になって
いる武家の奥方の正体が明らかに
なるの。
おお〜。巴屋の主人、どこか
堅気ではない怪しい雰囲気が
あるよなあ。それと美人な武家の
奥方!誰かと関係のある人物なのか?
かささぎに母と息子の二人連れの
お客が訪れるわ。彼らの人探しが
巴屋の主人の正体へとつながって
いくのよ。
ほうほうお。行方不明と茶屋の
主人かあ。何やら匂うぜ。
『くわいの丸煮 木挽町芝居茶屋事件帖』
篠 綾子 (著) ハルキ文庫
あらすじ
冬が間近に迫り、風が冷たさを増し、体が温まるものを人々が求める季節となった。
芝居茶屋かささぎでも湯気の立つ豆腐や里芋の田楽が人気だ。
そんなある日、どこぞの大店の主人といった風情の男が店にやってきて、巴屋の主人には恩があり、何かあれば必ず助ける、と言います。
同じ頃、行方不明の弟を探しにきたという女客と息子の二人連れがやってきます。
鬼勘も絡み、人探しに協力することになった喜八たち。
そこから次々と驚きの事実が明らかになり…。
巴屋との因縁の対決、そして気になる奥方の正体とは
日本橋の本屋の主人、萬屋清兵衛は、山村座四代目の贔屓筋で、巴屋へよく行くのだとか。
その清兵衛が迷わず助けるという巴屋の主人。
何かとかささぎに因縁をつけてくるこの巴屋の主人と清兵衛はいったいどんなつながりがあるのか。
そんな中、かささぎに三十路を過ぎた母、おかねと十代半ばほどの息子、伊一郎がやってきました。
聞けばおかねの弟、鹿之助が地元伊勢を発ち、江戸へと向かったのだが現在行方不明になっているのだとか。
鹿之助は伊勢の射和村出身。
どうやら彼は、巴屋の主人、仁右衛門の前身を知るもので、話を聞くために鬼勘の部下と江戸で待ち合わせをしたものの、鹿之助は現れなかったのだと言います。
鬼勘はおかねと伊一郎に警護を兼ねての見張りを付けます。
かささぎ屋では亥の子の日に備えて特別メニューを考案。
喜八の心は、以前菊酒だけを飲みに現れた、美しい武家の奥方がまた来てくれるだろうかと気にかけています。
芝居『小鍛冶』の役に紛争した喜八と弥助が声をかけるとたちまち店は客でいっぱいに。
そしてまた鹿之助の捜索も、鬼勘によって秘密裏に進められていきます。
季節の素材にくわいが加わった頃、再び武家の奥方が店へやってきて好物だというくわいを食べていきます。
その後、鬼勘によると鹿之助はこの武家の奥方、喜世のもとにかくまわれているようで…。
まとめ
かささぎに何かと因縁をつけてくる巴屋の正体が明らかに。
証拠を出すのが難しいこの状況に、喜八と弥助は芝居仕立てにして巴屋の主人の過去を暴いていきます。
そしてどうにも気になる美しい奥方、喜世のことも明らかになり、驚きが止まりません。
そして提示された喜八の未来と彼が選んだ道は、清々しい風が吹いたかのように感じられます。
色男の彼らに出会えなくなるのがさみしくなってしまう『木挽丁芝居茶屋事件帖』シリーズ最終巻。
<こんな人におすすめ>
芝居茶屋を営む店主が江戸の事件を解決していく物語を読んでみたい
『木挽町芝居茶屋事件帖』シリーズのファン
篠 綾子のファン
ああ〜 終わってしまった〜
彼らが芝居をするところと
おいしい料理をもっと
読みたかったなあ。
華やかな喜八と弥七が活躍する
芝居茶屋シリーズ。江戸の人情と季節の
旨味に満たされる物語だったわね。
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