『BARゴーストの地縛霊探偵』歌田 年 (著)宝島社文庫
こちらはBARで倒れて亡くなった
男性が、店で起こる謎を解いて
いくお話よ。
幽霊が謎を解く!?
みんなに見えるわけじゃないだろうに
どうやって推理を披露するんだ?
お客さんの一人だけが幽霊探偵の
姿が見えているようなの。
酔いつぶれた客に憑依して
その身体と口を借りて真実を語るのよ。
なるほどね〜。ところで、
その幽霊探偵の姿が見えている
一人の客ってのも気になるな…。
あらすじ
新宿駅西口のジャズが流れるBARコーストには幽霊が出るともっぱらの噂。
ある日、一人の老人が来店し無人の部屋から聞こえる足音の謎を見事に解明した後、脳梗塞を起こし病院へ運ばれたが亡くなってしまう。
以来、彼は酔い潰れた客に憑依し、バーで起こる事件の謎を解いていく。
彼の姿が見えているのは常連客の「ぼく」だけのようで…。
BARに現れる名探偵は幽霊!?
BARコーストの二階には開かずのパーティールームがあるのですが、誰もいないはずの部屋からコツコツと足音が聞こえ、幽霊の仕業では、と常連客の間で噂になります。
ある日、カウンターの奥に座っていた常連ではない小柄な老人が、幽霊の正体の謎について見事な推理を披露します。
コーストの名探偵登場!と常連客が喜んでいる時、老人が倒れ救急車で運ばれますが、脳梗塞で亡くなってしまったのでした。
常連客たちが老人に献杯している間も、「ぼく」の目にはカウンターの奥の席に座る老人の姿が見えるのです。
その姿は半分透き通っている…つまり幽霊なのでした。
どうやら周囲の人々には老人の姿は見えていないようです。
ふとこちらを見た老人が大きく目を見開き、老人も「ぼく」のことが見えるらしく驚いている様子。
そのとき、家出をした娘を探しているという男性が店にやってきます。
ひとしきりそのいなくなった状況を聞いた客たちはあれこれと考えてみますが、いい考えは見つかりません。
そんな時、老人が酔いつぶれた常連客の女性、希さんにスッと入りこむところが見えます。
希さんはムクリと起きあがり、あの老人の口調でゆっくりと話しはじめたのです。
まとめ
家出娘が消えた謎、仕事の待ち合わせ場所を何故間違えてしまったのか、妻子ある男性が入っていった店の名前、双子の兄弟が兄の婚約者に一緒に会いに行く理由。
酒を片手に謎をつまみに常連客やバーテンたちがあれやこれやと意見を交わします。
誰か一人は潰れてしまうのですが、そこに老人が憑依し真実を解明します。
老人がバーに現れる理由や「ぼく」が老人を見ることができる理由など、あちこちにタネがばらまかれ驚きの結末へとつながっていきます。
美味しい酒と料理、そして切れ味鋭い幽霊の推理を楽しめるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
幽霊がバーで事件の謎を解くミステリーに興味がある
幽霊が泥酔客に憑依して推理を披露するミステリーを読んでみたい
歌田 年のファン
憑依されたら女性でもあの
おじさんの口調になっちゃうのか。
おもしろいな!そんでもって
大きな真実が隠されててビックリだ!!
BARのスタッフや常連客たちとの
こなれたやりとりも心地よい
推理とお酒、店のいい雰囲気が
楽しめるミステリーね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。