
こちらは人間と会話ができるゴリラ・
ローズが動物園を相手に裁判を
起こすお話よ。

人間と会話ができる!?
すごいな。そのローズがどうして
動物園を訴えることになったんだ?

ゴリラのエリアに落ちた子供の
安全のためにローズの夫が
射殺されてしまうのよ。
そのことでローズは動物園の
判断が誤りではないかと訴えたの。

ローズの夫がどんな行動に出たのかにも
よるけれど。これって人間とゴリラ、
どちらの命が大事なんだった話に
ならないか?
『ゴリラ裁判の日』須藤 古都離 (著)講談社文庫
あらすじ
アフリカのカメルーンで生まれ育ったメスのゴリラ・ローズは高い知能を持ち、人間の言葉を理解しなおかつ「会話」を交わすこともできる。
アメリカの動物園で暮らし始めた頃、小さな子供の安全のためにローズの夫は射殺されてしまう。
ローズは動物園を相手に裁判を起こすのだが。
人間の言葉を理解しその世界に飛び込んでいくローズだが
ジャングルの暮らしに加え、母と共に研究所へ通い遊んだり言葉を覚えながら過ごしてきたローズ。
研究者たちと会話が交わせるようになってはじめて「自分がゴリラである」ことを知ります。
やがて成長しある一頭のオスゴリラ・アイザックと出会ったことでローズは群れから離れるべきなのかと悩みはじめます。
そんな時、ローズたちの群れは別のゴリラに襲撃され、攻撃を受けたリーダーでありローズの父親でもあるエサウは怪我を負い、死んでしまいます。
研究者トムのアテンドでアメリカの動物園へ行くことになったローズ。
これまでは手話で会話を交わしていましたが、テッドという男性がローズのために、手話を音声に変えてくれるグローブを開発してくれました。
これによってよりスムースに会話をできるようになったローズは大喜び。
次にロイド上院議員がやってきて、ローズが会話できることに驚き、アメリカで問題なく暮らせるようセッティングしてくれるとのことでした。
実際のところはカメルーンからアメリカへの「レンタル」になると耳にしたローズは、自分がおもちゃのように扱われていると感じ悔しくなります。
複雑な思いを抱きつつも暮らすことになったクリフトン動物園は、動物に深い愛情と理解を持つホプキンス園長が細やかに心を配ってくれ、またオマリという伴侶を得ることができたローズは幸せな日々を送っていました。
あの事件が起こるまでは。
まとめ
動物の群れで育ったメスのゴリラ、ローズ。
人間の言葉を理解し、手話を音声化するツールによって人との意思の疎通もスムーズに行うことができます。
人間が好きなローズですが、ゴリラである自分にとって人間の世界が決して優しくはないことを感じています。
動物園のゴリラエリアに小さな子供が落ち、その子供を引きずったオマリは射殺されました。
これに対し裁判を起こしたローズはその結果に絶望します。
言葉を理解していても人間はゴリラを同等に受け入れることはできないのか。
ローズの優しさと強さが人間のエゴを乗り越え、明るさと朗らかさで世の中を包んでくれる。
そんな風に感じる物語です。
<こんな人におすすめ>
会話のできるゴリラが人間社会で様々な試練に遭いながら生きる話に興味がある
人間の常識についうて考えさせられるような話を読んでみたい
須藤 古都離のファン


ローズは素晴らしいゴリラだな。
常に発見し壁にぶつかっても
前向きに生きているところがすごい。

彼女のような存在は人間という
生物の枠組みを取り払って
様々な生き物たちが共に
平和に暮らすために
必要なのかもしれないわね。
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