
こちらは死んだ人間を生き返らせる
秘術が存在する町で、ある人物を
蘇生させた犯人を捜すミステリーよ。

ん?殺した犯人を捜すのでなく?
生き返らせた『犯人』を捜すわけ?

そうなの。死者を生き返らせるためには
ある『モノ』と『条件』が揃う必要が
あるわ。閉鎖的な町に辟易している
三人の若者たちがこの条件を駆使しながら
犯人捜しに挑むのよ。

なるほどね。ということは、彼らが
誰かを殺したってわけかな?
頭がこんがらがりそうだがどんな
風に展開していくのか楽しみだ。
『町内会死者蘇生事件』五条 紀夫 (著)新潮文庫nex
あらすじ
埼玉県秩父市内の南東部に位置する信津町は林に囲まれた閉鎖的な地域。
この地域で生まれ育った人間にとって強い力を持つ町内会で、悪辣非道に振る舞う会長であり住職である権造を殺害しようと決意した健康、昇太、由佳里。
計画通り権造を殺したはずだったのに、翌日権造はいつもと変わらぬ姿であらわれた。
せっかく殺したアイツを蘇らせたのは誰だ!?
殺人犯が「蘇生犯」を追うメタミステリー。
アイツを生き返らせた犯人を見つけ出せ
二十四歳の健康は昇太と幼馴染。
大人しくて頼まれると嫌と言えない昇太は実家が駄菓子屋を営んでいて、他にも所有するいくつかの土地で様々な店舗を経営していますが、そのテナントの誘致も権造が認めたものに限られるようです。
同じく駄菓子屋にやってきた同級生の由佳里はどうやら権造の息子である龍雄との縁談の話を持ち込まれ、自分の立場から断ることができず困っている様子。
健康にも権造に死んで欲しい理由があります。
そこで健康は三人で権造を殺さないかと提案します。
酒に酔わせて浴槽で溺れさせる。
三人は計画通りに実行し権造が息をしていないことを確認。
それなのに翌日、権造は何事もなかっったかのように変わりない姿で健康たちの目の前にあらわれたのです。
健康は、酔った権造が話していたことを思い出します。
「この町にはな、死人を生き返らせる秘術があるんだ」…。
まとめ
死人を生き返らせるためにはいくつかのルールがあります。
そのうちのひとつは、誰かの命が犠牲になること。
決まった時間以内に別の犠牲者があらわれないと生き返ることができないこと。
死んでいる間の記憶は失われること。
こうした条件のもと、登場人物たちはなんども死んだり生き返ったりしながら蘇生犯を探っていきます。
そうした捜査の段階でこの町に隠された秘密も明らかになっていくのです。
驚きの設定とユーモアに満ちたスリルある展開、そして美しいラストと最後までページをめくる手が止まらない、新鮮な読書体験ができる物語です。
<こんな人におすすめ>
死者を『蘇生させた』犯人を見つけるミステリーに興味がある
死者を蘇らせる秘術がある町の秘密を描いた話を読んでみたい
五条 紀夫のファン


生者と死者の追いかけっこみたいだな。
誰がいつ命を落とし、そして復活するのか。
スリリングな展開がたまらん!

美しく悲しいラストにも
胸を打たれる、他に類を見ない着想と
予想を裏切り続ける展開に最後まで
ページをめくる手が止まらない
一気読み必至のミステリね。
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