
こちらは男子高校生二人が
学校で起こる謎に挑む
『本と鍵の季節』に続く
シリーズ第二弾よ。

クールな松倉と普通に見えて
鋭い推理をする堀川のコンビね。
今回はどんな謎が起こるんだ?

返却本に挟まれていたしおりが
押し花をラミネート加工したもの
だったのだけど、その花は猛毒を
含むトリカブトだったの。

えっ そいつは危険じゃないか。
持ち主は猛毒を持つと知っていたのか?
それともそれを何かに使う気だったのか。
『栞と嘘の季節』米澤穂信 (著) 集英社文庫
あらすじ
図書委員をしている高校二年生の堀川次郎と松倉詩門は返却本の中に押し花をラミネート加工した一枚の栞を発見する。
その可愛らしい花の正体は猛毒を持つトリカブト。
彼らは栞の持ち主を捜しはじめるのだが。
誰が何の目的で栞を作っているのか。
殺意の奥に潜む真実を解き明かしていく青春ミステリ。
猛毒を持つ花の栞の持ち主は誰なのか
返却本の中に忘れ物が挟まっていないかをチェックしていた堀川と松倉は、『薔薇の名前』下巻の中から一枚の栞を見つけます。
鈴のような形をした紫色の花をラミネート加工してあるこの栞を見て、松倉の表情に緊張が走ります。
図鑑を開いてみるとこの花は猛毒を持つトリカブト。
誰のものかわからないこの物騒な忘れ物は、「花の栞を忘れた人は図書委員の松倉か堀川まで」と破り取ったノートに書いて掲示板に貼り持ち主が出てくるのを待つことに。
堀川は、写真部のある作品がフォトコンテストで入賞したという話題を思い出し、写真が掲示されている保健室へと向かいます。
我が校の制服を着た女の子がジャンプしている躍動感あふれる一枚で、手に持っているのは何とあの栞の花、トリカブトだったのです。
松倉を呼び出し、二人で写真を撮影した部員をたずね、彼女がシャッターを押したという校舎裏へ。
目的の花壇へ向かうとそこには同級生の女子、瀬野がいて…。
まとめ
猛毒を持つ花の栞と、この栞について何かを知りつつも決してその内容について語ろうとしない、美しい女子高生、瀬野。
頑なでどこか人を寄せ付けない松倉と瀬野は似たような部分があるのかもしれません。
そんな二人に対し、あくまでもマイペースに、冷静に物事を見つめ判断していく堀川は孤独な瀬野にとって救いのような存在になっていたのかもしれません。
栞の奥に隠された真実と切実な思いに胸が苦しくなる青春ミステリです。
<こんな人におすすめ>
返却本の中に挟まっていた猛毒のある花を押し花にした栞の持ち主を探すミステリに興味がある
前作『本と鍵の季節』を読んだ
米澤穂信のファン


大切なもののために口を閉ざす
瀬野の強さと孤独が際立つな。
そこはちょっと松倉と似ている
部分でもあるかも。

ぶつかり合ったり譲歩したり
相手を認めたり。3人の距離感と
真実への思いが胸に響く
青春ミステリね。
前作『本と鍵の季節』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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