こちらは、自分の思ったことを
相手がそのまま口にする、という
能力を身につけた男性のお話よ。
へえ〜。なんかいたずらで
変なことしゃべらせたら
おもしろそうだな。
この男性も、いろんな状況で
実験して、能力が及ぶ条件や
範囲を確認していくの。
なるほど。そんでその男は
この能力を使って何を
しようとしたのかな?
『魔王』 伊坂幸太郎 (著) 講談社文庫
あらすじ
会社員の安藤は両親を亡くし、弟の潤也と二人で暮らしている。
あるとき、自分が念じると、自分が思った通りの言葉を相手がそのまま口に出すことに気づく。
様々な条件の中で試した後、安藤はその能力を使うために、一人の男へと近づいていく。
何事も「考えろ考えろ」と自分に言い聞かせ、考察し続ける安藤は、自分が念じた相手に思ったとおりの言葉を喋らせる能力があることを発見します。
会社で、弟の潤也やバーの見知らぬ客など、様々なシチュエーションで自分の「能力」の実験を行い、有効範囲や可能な条件を確認していきます。
一方、世の中では与党の政治に期待どころかあきらめを感じていた国民の前に、野党の議員・犬養が登場し、力強い言葉と落ち着いた物腰で民衆の心をひきつけます。
安藤はテレビ越しに見る犬養の言葉に納得しながらも、頭の隅で警戒音が鳴り響きます。
「考えろ考えろ」。そして安藤がその能力をひっさげて足を向けた先とは。
まとめ
力強く、未来を感じられるような言葉で、民衆が同じ方向に目線を向けていく。
それは素晴らしいことですが、本当にそれで良いのでしょうか。
自分の頭で考えた結論ですか。誰かの言葉がそのまま自分の考えになっていませんか。
わたしたちはもっともっと考えるべきなのではないか。
そんな風に感じる物語です。
<こんな人におすすめ>
特殊能力を持った男の行動や行く末に興味がある
日本の政治と国民の現状について描いた話を読んでみたい
伊坂幸太郎のファン
なんか日本の行く末が
心配になってきた(・・;)
「考えろ考えろ」という言葉は
国民である私たちに向けられた
ものなのかもしれないわね。
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