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こちらはあるブランド物の
長財布が持ち主の手を離れ
様々な人の手に渡りお金の
問題で悩む人々を目にしていく
物語よ。
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ほうほう。最初の人はなんで
財布を手放すことになったんだ?
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専業主婦で節約してコツコツと
貯めたお金で財布を手に入れたの。
でも間も無く夫のカード支払い金額が
莫大になっていることに気づき
泣く泣く手放すことになったのよ。
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ひええ〜〜 気の毒に…。
ていうか大きい金額になる前に
旦那は気づかないもんなのか?
『財布は踊る』原田ひ香 (著) 新潮文庫
あらすじ
専業主婦のみづほは食費や光熱費を節約してコツコツとお金を貯めていた。
そして二年半、目標金額が貯まりようやく夢が実現するかと思われたのだが…。
株での失敗、リボ払いの罠、重くのしかかる奨学金の返済。
日常生活でお金に向き合うことを余儀なくされた人々はどのように困難を乗り越えるのか。
ようやく手に入れた夢の財布だが
ルイ・ヴィトンの財布が欲しい、と長年考えていた専業主婦のみづほは十ヶ月の息子と夫の雄太との三人家族。
雑誌の情報などを参考に自分の洋服は買わず、安い食材で工夫しながら料理して毎月二万円を貯金。
二年半後に貯まったお金を手に、雄太に「ハワイに行こう」と提案。
自分のお金も出すから、と話すと雄太も乗り気に。
そしてハワイでとうとう念願のルイ・ヴィトンの長財布を、しかもイニシャル入りで購入。
喜び気分もつかの間、夫の雄太がクレジットカードの請求が三万だったと話し首を傾げるみづほ。
請求書を見せて、と頼んでも逆ギレして見せてくれません。
どうやらリボ払いになっていて毎月同じ額が請求されているようだと理解したみづほは、雄太を説きふせてネットから請求額を確認。
するとそこには二百八十八万円という数字が…。
メルカリに出品し、みづほの手から離れた財布はフリーターの手に渡り、別の人間に盗まれ、忘れ物として再び売りに出されたりと様々な道をめぐります。
財布が見てきた、お金に踊らされる人間たちの姿とは。
まとめ
一人の主婦の夢だったヴィトンの財布は、FX商材を売り込むアルバイトの手に渡り、その後株で失敗した社員のもとを経由し、鉄道の忘れ物市に出され、風水ライター、さらには奨学金返済に苦しむ学生をめぐり、最終的に数年後のみづほが目にする運命的な道をたどります。
節約する主婦、カード請求に無頓着な夫、その日暮らしのフリーターや五千万の資産から一瞬でマイナスに転じたサラリーマンなどお金に苦しめられる様々な人たちが登場します。
華やかに見えるブランドや大金には夢がありますが、まずは自分自身という基礎をしっかりと整えておかなければ、入ってきたものもすぐに消えていくものです。
現状と自分をしっかりと見つめ直し「生きたお金の使い方」をしたくなる。
そんな風に思える物語です。
<こんな人におすすめ>
様々な事情によりお金に踊らされる人々があるきっかけから変わってい様子を描いた話を読んで見たい
一個の財布が様々な人の手に渡りお金にまつわる様々なトラブルを目にしていく話に興味がある
原田ひ香のファン
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わあ〜… お金って不思議だなあ。
あと人の金とか自分の力と関係なく
入ってきたお金ってその人を
歪ませてしまう力があるかも。
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自分の芯を持って生き続けている
人は次に活かせる生きたお金の
使い方ができるのかもしれないわね。
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