
こちらはテロリストと
官僚の戦いを描いた物語よ。
地方再生のための活動を
行なっていた元官僚が
死体となって発見されるの。

テロリストは何を訴えて
いるんだ?

地方へ予算を投じることを廃止して
住民は東京へ、そして予算も首都圏
のみに充てるべきだと。
期限以内に実行しなければ次の
行動に出ると動画で発言したの。

ううむ。なるほど。
それで次の行動が殺人てわけか。
テロリストの真意を探り
行動を止めないとえらいことに
なりそうだぞ。
『救国ゲーム』結城真一郎 (著) 新潮文庫
あらすじ
優秀な元官僚の神楽零士は六年前に退職し、消滅寸前の過疎集落、奥霧里へ移住。
SNSを積極的に活用し知名度を上げ、住民も増えた地方創生の成功例として話題となっているが、その零士が死体となって発見される。
能面で顔を隠した「パトリシア」と名乗る人物が、全国民に大都市圏へ移住するように動画で訴えます。
六十日以内に実行しなければ次の行動に出る、とも。
零士の死体が発見されたのは期限切れの翌日、つまり六十一日目だったのです。
地方再生の立役者が殺害された謎
会社を辞めて奥霧里に移住した陽菜子は田舎の暮らしぶりを赤裸々にブログに綴り、「カリスマブロガー」と呼ばれています。
奥霧里でドローンを使った配送システムや近くの集落までの移動を可能にする無人運転走行する車の配備を整え、マスコミに積極的に対応を行なっていた零士の死に驚きと戸惑いを隠せません。
しかもその死体の体は無人運転の車の中に、頭部は配達ドローンの配送ボックスの中から発見されたのです。
異常な状況の上、犯人はおそらく住民の誰か。
陽菜子はかつて常に自分の上の成績を取っていた、気に入らないけれどめちゃくちゃ頭のキレる男で現在官僚である雨宮に真相を見つけ出してほしい、と頼みます。
リモートで関係者たちとの会話が聞こえる環境を作り、情報を集め雨宮が推理した結果と、パトリシアなる人物の正体とその目的とは。
まとめ
先細りする地方都市や限界集落へ予算を投じるのをやめて住民を東京に移し予算もそこに充てるべき、とテロリストのパトリシアは訴え、国中を巻き込んだ議論へと発展します。
当然のように政府は及び腰な対応。
態度も口も横柄な雨宮は、普段はなるべく余計な仕事を受けないようにしていますが、この件については思うところがあり引き受けます。
ゆっくりと沈んでいく船から逃げ出すのか、沈むまでの時間を引き延ばそうとするのか。
日本という国をあなたたちはどうしたいのですか?と問いかけられているかのように感じる、この国の未来について考えさせられるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
国家の存亡をかけて天才官僚とテロリストが戦う話に興味がある
限界集落で起こった不可解な殺人事件の謎を解くミステリーを読みたい
結城真一郎のファン


ギリギリのところで官僚たちも
頑張ってくれているけど…
自分たちがもっとどうしていくべきか
考える必要があるよな。

誰かのふるさとでもある限界集落が
人が住み続けられる場所として
維持発展していけるのか。
読後にそんな話を誰かとしたくなる
物語ね。
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