こちらは日常で起こる
小さな奇跡を描いた
物語よ。
ほうほう。ミュージシャンの
斉藤和義のために書き下ろした
小説ってことでも話題になったよな。
サラリーマンや美容師、
ボクサーなど関わることの
ないような人々が思いがけず
つながっていくの。
わあ それ聞いただけで
なんか感動しちゃいそうだな。
どんなシチュエーションで
つながりがわかるんだろう。
『アイネクライネナハトムジーク』
伊坂 幸太郎 (著)幻冬舎文庫
あらすじ
妻と娘に出て行かれてしまったサラリーマン、会ったことのない電話での声しか知らない相手を好きになった美容師、かつて自分をいじめていた相手と仕事の場で遭遇してしまったOL。
人生はうまくいかないことも多いけれど、日常の中で奇跡が起こることもある。
そんな小さな奇跡を集めた連作短編集。
日常の中に潜む奇跡と出会いのタネ
冷静沈着、仕事は堅実で誰からも信用されている先輩の、愛する妻と娘が家を出ました。
そんな先輩が作業中に机を蹴ったため棚が倒れ、サーバーが破損。
後輩である僕は動転し、バックアップデータ媒体にコーヒーをこぼしてしまいます。
破損部分のデータを取るために、僕は駅前でアンケート作業をすることに。
大きな画面にはボクシングの試合中継が流れ、誰もが通り過ぎてしまいます。
そんな中、一人の女性が立ち止まりアンケートに協力してくれました。
友人の織田夫婦にこの話をした僕は「出会い」について考えます。
一方、美容師の美奈子は友人に近い関係の客・香澄から、弟に彼女がいないので電話でもいいから相手してあげて、と言われます。
その気はなかったものの、香澄から番号を教えられたらしい弟から電話がかかってきます。
よくわからない姉ですいません、とあやまる彼と何故だが会話がはずみ、会う約束もないまま電話をするように。
いつしか彼からの連絡を待つようになった美奈子ですが、ある時彼からの連絡が途絶えてしまいまいます。
一人のボクサーの試合が、それを見ている夫婦、親子、恋人、少年が違いに何らかの影響を与え、やがて日常の中でちょっとした奇跡を呼び起こします。
まとめ
日常の中に潜んでいるちょっとしたドラマや奇跡。
それをモザイクのように少しずつ描きながら、最後にはバラバラだったパーツが見事な一枚の絵となって現れる、鮮やかな構成です。
また、真面目な先輩夫婦の出会いや友人夫婦の妻のセリフなど、読者の心を掴む演出やセリフ回しも秀逸。
読後にはすっきりとしたあたたかな気持ちに満たされ、何げない日常も何だか愛おしく感じられてくる物語です。
<こんな人におすすめ>
何気ない日常の中に起こる奇跡を描いた物語に興味がある
誰かとのつながりが人生に光をもたらすような話を読みたい
伊坂 幸太郎のファン
映画もおもしろそうですね。多部未華子さん&三浦春馬さんコンビ。
こんな偶然があるならば
人生って素晴らしい!!
って大声で叫んじゃうな。
奇跡の種は平凡だったり
問題を抱えている日常にこそ
転がっているものなのかも
しれないわね。
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