卑屈で短気。でも寂しがりやな貫多から目が離せない理由。

のこ
のこ

こちらは中卒で日雇労働を

しながらその日暮らしをしている

貫多という青年を描いた物語よ。

ぬこ
ぬこ

おっ 確か芥川賞を受賞した

作品だよな。自伝的な内容

なんだって?

のこ
のこ

そうなの。私小説と呼ばれて

いるわ。見栄っ張りでプライドの

高い貫多は同世代の同僚と知り合い

少しつずつ変化していくのだけれど。

ぬこ
ぬこ

へえ〜。その日暮らしの男が

どう変わっていったのかな?

気になるぜ!

『苦役列車』 西村賢太 (著) 新潮文庫

あらすじ

中学卒業以来、日雇労働をしながらその日暮らしの生活を続けている北町貫多、19歳。

成績と素行の悪さから進学できなかったが、見栄っ張りでプライドが高い。

将来に希望を持たず、ただその日を暮らせれば良い、と思っている。

ある日日雇いの現場で同世代の男・日下部と知り合い、交流するようになると、貫多は少しずつ変わっていくのだが…。

その日暮らしの貫多が変わったきっかけとは

日当が入れば、すかさず酒と食事に変わり、明日に回せる金が残れば翌日は働かない、預金など考えもせず家賃も数ヶ月分をため、まさに「その日暮らし」を地で行く19歳の貫多。

彼が子供の頃、父親が性犯罪者として逮捕されたことがあり、それ以来友人を作ることもなかったのです。

そんな貫多に話しかけてきたのは、日雇いの仕事がはじめてで、貫多と同世代だという日下部。

日下部の溌剌として嫌味のない言葉と態度に貫多も影響を受け、仕事に毎日出るようになります。

その仕事ぶりを目に留められ、今の仕事よりもワンランク上の倉庫作業の手伝いをすることに。

さらに荷物を動かすためのフォークリフトのような機械の動かし方を覚え、免許を取るように、とも会社にすすめられる貫多と日下部ですが…。

まとめ

自堕落な生活から向け出すチャンスを、自分で叩き壊してしまう貫多。

短気で乱暴、卑屈でプライドが高いくせに、寂しがりやであったり、人を信頼する妙に素直な部分があり、めちゃ面倒な人物なのですが読むものを惹きつけます。

それは誰もが心の奥底にしまってあるドロドロしたものを、彼が何のてらいもなく、表にさらけだしているからなのかもしれません。

<こんな人におすすめ>

破滅的な姿を描いた私小説を読んでみたい
鬱屈したものを抱えた自我を持て余す小説に興味がある
西村賢太のファン

森山未來 · 高良健吾 · 前田敦子さんらの出演で映画化もされましたね。

ぬこ
ぬこ

友達にするには面倒だけど

なんだか憎めない奴だなあ。

のこ
のこ

著者の西村賢太さんは

2022年2月に急逝されたの。

まだまだ多くの作品を残して

もらいたかったけれど残念だわ。

心よりお悔やみ申し上げます。

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