
こちらはある雑誌記者が
踏切に現れる幽霊を取材するうちに
驚くべき真実にたどり着いていくお話よ。

幽霊だって?
枯れ尾花ってやつじゃないの?

読者から送られた心霊写真を
カメラのいわゆるプロが
分析してみても写るはずのないものが
写っていたとしか言えないそうよ。

本当に幽霊なのか。まさかなあ…。
でもその幽霊をどうやって
調べていくんだ?
『踏切の幽霊』高野 和明 (著)文春文庫
あらすじ
下北沢三号踏切で撮影された写真には、髪の長い女が写り込んでいた。
下半身がなく、生気のない表情をした女の幽霊を取材することになった松田。
一年前に妻を亡くした彼が哀しみと絶望を抱えながらこの怪異現象から見出した真実とは。
踏切に現れる女の幽霊
新聞社を辞め、知人の井沢に声をかけられ女性誌の記者として雇ってもらった松田。
新聞と雑誌では記事の書き方も異なり勝手がつかめず、かつて仕事をしていた政治関連の取材現場に出ても、新聞から雑誌に移った自分は周囲から軽んじられ情報ソースもまわってきません。
実績を出せない松田に井沢が提案したのは「幽霊」の取材。
読者から投稿された一枚の写真には、祖母と孫、そして飼い犬が踏切の前で写っていました。
背後には横向きの髪の長い女性の姿。
そして彼女の下半身はなかったのです。
加工写真か、何かの不具合で起こったのか。
写真の真偽の確認も含め、上がってきた真実をどんな形で記事にするかは松田にまかせる、とのこと。
写真に写っていた人物の関係者や、写真の仕組みに詳しいカメラマンの吉村に話を聞いていくと、その写真に写るはずのないものが写っていたということが判明します。
また、妻を亡くした後も同じ場所に住み続けている松田が、ある夜ぼんやりと、亡くなった人々はどこにいるんだろうと考えていると電話が鳴ります。
時刻は夜の一時三分。
受話器を取り上げると最初は無音でしたが、やがて消え入りそうな、それでいて恐怖と警戒心を喚起する音が耳に響きます。
それは断末魔の苦しみを訴える若い女の声だったのです。
慌てて受話器を下ろした松田ですが…。
まとめ
幽霊の取材に取り組むこととなった松田は、幽霊や心霊現象について調べながら、胸の中に亡き妻の姿を抱いています。
やがて、幽霊の正体が一人の名前を持った女性であることが判明すると、事態は何やら事件性を帯びたものになっていきます。
松田自身にも奇妙な電話などの怪異現象が起こりはじめ、どうなってしまうのかとハラハラしてしまいます。
次第に明らかになっていくのは一人の女性の人生とその死。
そして、その結末には衝撃を受けますが、彼女が生きていたこと、生きてきたことを伝えるために、今一度姿を見せていたのかもしれません。
生と死の距離、そして人を思うことについて考えさせられる物語です。
<こんな人におすすめ>
妻を亡くした雑誌記者が踏切に現れる女の幽霊を探るホラーミステリを読んでみたい
生きること、死ぬこと、そして死後について考えさせられるような物語に興味がある
高野 和明のファン


なんと…。一人の女性の
人生が見えてくる
なんとも切ない話であった(;_;)

死を思う松田だからこそ
彼女の存在を感じ取ることが
できたのかもしれないわね。
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