講談社文庫

イラストブックレビュー

壁の内側は静かな美しさに満ちた世界だった

『琥珀のまたたき』小川 洋子 (著) のイラストブックレビューです。次女が死んだのは魔犬の呪いだと話すママと、パパが遺した別荘で暮らし始めた長女のオパール、長男の琥珀、瑪瑙の三きょうだい。沢山の図鑑やお話、音楽に彩られた日々は幸福に過ぎていく。
イラストブックレビュー

その人生は、地下鉄とつながっていた

『おもかげ』浅田 次郎 (著)のイラストブックレビューです。定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄で倒れ、意識を失った。昏睡状態の中、竹脇の心は病院の外へとさまよい出す。地下鉄に乗って、様々な時代の、様々な場所へ。
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震災後の「もうひとつの日本」の姿を描く物語

『献灯使』多和田 葉子 (著)のイラストブックレビューです。大災厄に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットもなくなり、鎖国状態となってしまった日本。義郎の曾孫である無名が「献灯使」として日本から旅立つことになった。
イラストブックレビュー

時代と人の重なりを美しい表現で描く物語

『冥途あり』長野 まゆみ (著)のイラストブックレビューです。東京の下町で生まれ、実直な文字職人としてその生涯を終えたはずの父。しかし、亡くなった後、親族との会話から、父の意外な一面を知る。遠き日の昭和の風景とともに、一族の歩んできた道を描く物語。
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世にも奇妙な、それでいて身近に感じる世界

『世にも奇妙な君物語』朝井 リョウ (著) のイラストブックレビューです。初めに感じたのは、ほんのわずかな違和感、それが、みるみる間にふくれていき、後戻りのできない状況になっていく。そんな、朝井リョウ流の「世にも奇妙な物語」。
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自分が自然の一部だった頃の記憶

『妻が椎茸だったころ』中島京子 (著)のイラストブックレビューです。亡くなった妻のレシピ帳には「私は私が椎茸だったころに戻りたいと思う」と書かれていた。慣れぬ手つきで乾物の椎茸を煮て、妻が生前に予約を入れていた料理教室へ参加した泰平なのだが。
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「夫婦は似てくる」の本当の意味とは

『異類婚姻譚』本谷 有希子 (著) のイラストブックレビューです。子供を持たず、仕事もせず、専業主婦として呑気な生活を送っていた私は、ある日夫の顔の異変に気づく。やがて、夫と私、互いの輪郭が混じり合い、自分の顔が夫とそっくりになっていることに気付く。
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理解できない部分もあるけど、いるだけで安心する。それが家族ってヤツなのかも。

『家族シアター』辻村 深月 (著) のイラストブックレビューです。真面目な姉をイケてないと感じている妹、姉はバンドの追っかけ、弟はアイドルおたくと趣味で反発し合う姉弟、息子とうまく話ができない父。時にうっとうしくて、やっぱり大切な「家族」の存在を描いた7編の短編集。
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いくつもの推理が錯綜する!真実はどこにあるのか

『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』井上 真偽 (著)のイラストブックレビューです。聖女伝説が伝わる里で行われた婚礼の場で、「飛び石殺人」が発生した。伝説の聖女が起こした奇蹟の殺人なのか。青髪の探偵、上苙が奇蹟の証明に挑む。
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混乱注意!!今読んでいるのは「どの場面?」

『鏡の中は日曜日』殊能 将之 (著)のイラストブックレビューです。奇妙な館で発生した密室殺人事件。名探偵の活躍により解決したと思われていたが、15年後、現代の名探偵・石動の元へ事件再調査の依頼がくる。