のこ
こちらは日本の近未来を
描いた物語よ。大災厄後、
鎖国状態になってしまっているの。
ぬこ
鎖国状態。ネットも通じない?
のこ
そうなの。外来語もネットも
ない世界。若者は早く死に、
老人たちが生き残る世界なの。
ぬこ
シ、シビアだな〜…
でもどんな様子なのか気になるな。
『献灯使』 多和田 葉子 (著) 講談社文庫
あらすじ
大災厄に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットもなくなり、鎖国状態となってしまった日本。義郎は曾孫の無名と二人で暮らしているが、身体の弱い無名のことを常に心配している。そんな無名が「献灯使」として日本から旅立つことになった。表題作のほか、震災後の「もうひとつの日本」の姿を描いた全5編を収録。
まとめ
老人は百歳を超えても元気だが、子どもたちは病弱で、老人が子どもたちの世話をしています。若者が死んでいき、老人たちが生き延びていく世界。かつて都心であった場所は閑散として人の気配もないのです。
これまでの価値観は無意味であり、世界は狭く、広がりや希望を見出せない状況です。そんな中、「献灯使」に選ばれ、日本から出ることになった無名は、小さいけれども日本をほのかに照らす、希望の光のような存在なのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
震災後の日本を描いた話に興味がある
日本が辿るもうひとつの未来の姿を見てみたい
多和田 葉子のファン
リンク
ぬこ
こうした状況の中で献灯使は
希望の光なんだな。
のこ
先が見えない日本の未来を
小さな献灯使の光が握って
いるのね。
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