こちらはアパートで一人暮らしを
している若い男性が、ふとしたことから
アパートの他の住民とつながっていく
お話よ。
アパートの住民同士の付き合いって
今時は珍しいのでは?
そうね。主人公も同じアパートに住んで
9年目にして、あるきっかけで住民と
つながることになったの。
へえ〜。いったい何があったんだろう?
そして今時の近所づきあいってどんなのかな?
気になるぜ!
『ライフ 』 小野寺 史宜 (著) ポプラ文庫
あらすじ
高校時代に父を亡くし、母親は再婚。
やりたいことも特に見つからず、コンビニのバイトをしながら、大学時代から住んでいるアパートで一人暮らしをしている二十七歳の井川幹太。
静かな日々を送っていた幹太だが、上の部屋に越してきた戸田と言う男は騒がしい音を立てる。
しばらく様子を見ようと思った幹太だが、その音はおさまる気配もなく…。
やりたいこともなく、なんとなく過ごす日々
大学を出て入った会社は二年でやめて、次の会社も半年でやめ、それから近所のコンビニでバイトをしている幹太は、やりたいことを見つけられないまま、二十七歳になったと感じています。
あせりがないわけではないのですが…。
ひょんなことからアパートの住人との交流がはじまる
大学時代から住み続けているアパートも、はや九年目。
のんびりとした環境で暮らしていた幹太ですが、上の階に越してきた住民の動きががさつなようで、とにかく生活音が響きます。
上の階の男性、戸田はどうやら子持ちで、時おり二人の幼い子供と母親がアパートへやってきます。
ある日、幹太がドアを開けると、ちょうどそこにいた戸田の息子にドアがぶつかってしまいます。
これをきっかけに、戸田家とのゆるやかな交流がはじまっていきます。
まとめ
家族であろうと、ご近所さんというゆるいつながりであろうと、人は関わるだけで相手の力になれたり励まされたりするのです。
「自分は何もない」と思っていた幹太ですが、その優しさで周囲の人を助け、また彼自身も助けられていることを知る。
そんな風に感じる物語です。
<こんな人におすすめ>
近所づきあいから人との関わりの不思議さや大切さを描いた話に興味がある
自分の道を見つけ出す若者を描く青春小説を読みたい
小野寺 史宜のファン
「人との出会い」ってこうして
人生を動かしていくんだなあ。
自分も相手に影響を与えているんだ。
ゆるやかなつながりだけれど
確実に自分は誰かに支えられ、
また誰かを支えているということが
感じられる物語よね。
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