こちらは事故物件に短期間ずつ
住み続ける『東京ロンダリング』の
続編よ。登場人物たちのその後と
業界に潜む闇を描き出すの。
前作ではそれぞれがいい場所に
落ち着いた、という印象だな。
不動産屋は相変わらずロンダリングを
やっているのか?
そうね。新たな人材を見出して
ロンダリングを斡旋したりして
いるけれど、件数は減ってきているようね。
それと従業員のまあちゃんも不動産屋を
やめる決意をしたの。
え、まあちゃん辞めちゃうのか?
それなりに仕事できてたイメージだけど。
ロンダリングも減っているとか
業界に何か変化があったのか?
『事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング』
原田 ひ香 (著)集英社文庫
あらすじ
前住人が亡くなった事故物件に一時的に住むことで報酬を得る「ロンダリング」は街の小さな不動産屋が窓口となり、住人を選定し、物件を紹介して行う。
また、住人が行方不明で連絡がつかなくなった場合に活躍するのは、失踪ドットコムという捜索の会社。
彼らが依頼を受ける物件には様々な人間ドラマがあり、ロンダリングの仕事に関わっていた者たちも時の経過とともに少しずつ環境や考え方に変化が訪れる。
ロンダリングと失踪ドットコム
義父から夫へと継がれたアパートの住人が遺体となって発見されました。
無関心な夫に腹を立てつつ、管理会社の担当から「ロンダリング」を紹介された康江。
いっそのこと自分が住んではどうかと思い悩んでいたところ、パート先でパート仲間の青年、遠藤に励まされ決意を固めます。
また、同期が失踪したという連絡を受け、失踪ドットコムという会社の仙道と名乗る男とともに捜索に出た田中。
そして仙道に手がかりを求められ、同期がロンダリングの仕事に関わっていたらしい、ということを話します。
翌朝、ロンダリングの窓口である相場不動産へと向かうのでした。
まとめ
相場不動産のやり手店主・相場は年をとり孫の面倒をよく見るおじいちゃんに、従業員のまあちゃんこと雅代は、日々の仕事に慣れましたが自分はこのままでいいのかと思い悩みます。
そしてかつてロンダリングの仕事をしていたりさ子は、亮の食堂を手伝い続けていますが、再び仕事の依頼が入ります。
前作から時が流れ、時代が変わり、ロンダリングの仕事も今ひとつうまくいかない様子。
そうした一連の出来事の裏にはある会社の名前が…。
住まいという人間の小さな居場所から大きな闇へとつながっていく、人が生きる場所にまつわるドラマを描いた物語です。
<こんな人におすすめ>
事故物件にまつわる人間ドラマを描いた物語を読んでみたい
前作『東京ロンダリング』を読んだ
原田 ひ香のファン
人の心の中にあるぽっかり空いた
穴につけ込む奴らっているよなあ。
人が生活する場所には様々な
ドラマが生まれるのね。
前作『東京ロンダリング』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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